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進行方向に対して,指先や肩は,ほとんど上下運動していないことがわかる。しかし,大転子,膝,そして足先になるにつれ,上下動が大きくなっており,魚が尾びれを動かしながら泳いでいるようにイメージできる。

 

4) ドルフィンキックの推進力

 

イルカや魚の尾びれと同様,青山選手にみられるように,足首が尾びれのように“しなる”ことは写真やスティックピクチャーの図からもわかる。では,どうして“しなる”必要があるのか。

図8は,ダウン・ビートとアップ・ビート中に発生する推進力を簡単に示した。推進力の方向は,ダウン・ビートでは前方斜め上方に,そしてアップ・ビートでは前方斜め下方に向く。特に,ダウン・ビートでは,図中のように足首にしなりがないと,揚力(C)を生むことができない。また,アップ・ビートでは,足首の返りを利用し,あおるようにしてキックが行われるので,しなりが必要となる。

すべての泳法に通じるところであるが,足首の柔軟性は,“水泳選手の命”とも言える。日頃から,足首の柔軟体操やストレッチを欠かさないようにしたい。

 

5) 青山選手のレース中における潜水ドルフィン

 

キック

今年の日本選手権100mバタフライでは,青山選手は,25m通過(頭を基準)タイムが12秒53,26回の水中ドルフィンキックで25mに到達している。10mから25m間の通過時間が8秒38で,スピードに換算すると約1.8m/S,1キック当たりの推進距離は,約80cmとなった。青山選手のドルフィンキックのスピードは,源純夏選手の100m自由形レースの25mまでのスピードに相当することがわかった。

ルールが改正されて水中ドルフィンキックは15mと制限されるが,スピードあるドルフィンキックができることは,大いに記録の向上につながるので,十分に時間を割いて練習するべきである。

 

 

 

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