検診調査を行う予定であったが、帰路のエアフランス便が廃止されることになったので、大使館の意見も伺い、検診日程を6日間に短縮した。ウワンゴ診療所では予め通知をしていたので、受診希望者が例年の約3倍であったが、毎日10時間の検診を行って受診希望者全員について実施した。またバンザ村ではこのような状況の中で検診が実施されるとは期待していなかったとのことで、出来れば日程を延長してもっと多くの住民の検診をして欲しいとの希望が述べられたが、スケジュールの関係で一日のみの検診としたことは住民に対して申し訳なく、また私どもにとっても残念であった。村の診療所に薬剤を供与して、私どもの調査団が帰った後も村民のために治療を行うように看護士に依頼した。
検診成績をみるとウワンゴ地区では消化管寄生蠕虫症患者は789名中169名(21.4%)、ビルハルツ住血吸虫症患者は252名中10名(4.0%)であった。またバンザ村では消化管寄生嬬虫症患者が40名中8名(20.0%)のみで、オンコセルカ陽性者は1名も見いだされなかった。このように寄生虫陽性率が内紛のために昨年度の検診を行わなかったにも拘らず、減少しているのは、継続されている笹川記念保健協力財団の疫学調査対策が徐々にではあるが効果を現わし、それに伴って実施される衛生教育により、住民の寄生虫疾患に対する意識が高まったからであると判断される。なお今回初めて大がかりで行ったウワンゴ地区のビルハルツ住血吸虫症検診で明らかにこの地区にビルハルツ住血吸虫が存在しているので、今後は中間宿主貝の調査と共に、本症に対する検診および治療も継続することが疫学的にも重要であると考えられる。
本年度の供与機材薬品
昨年度(1996年度)は供与器材が現地に到着したものの、調査団の出発直前になって内乱が勃発し、その後も4回に及ぶ銃撃戦が展開されたため現地調査を断念した。今回の調査まで供与器材はバンギーの日本大使館に保管して戴き、今回の調査使用後に現地中央アフリカ政府の保健省に供与した。
1. 顕微鏡(オリンパス) 1台
2. 卓上多本架遠心器(クボタ) 1式
3. インスタント・カメラおよびフィルム(健康手帳用) 250人分
4. プラジカンテル(600mg/錠) 5,000錠
5. コンバントリン(500錠入) 10箱
6. ジエチルカルバマジン(100mg/錠) 1,000錠
7. フラジール(20錠人) 10箱
8. ホルマリンなど検診用試薬2品目 500人分
9. 注射器など検診用器材38品目 500人分
10. 白衣 30着