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6.2.2 曲線旋回性能の解析

 

(1) はじめに

1軸台車の曲線旋回性能を評価するために、マルチボディ・ソフトウエアA'GEMを用いた走行シミュレーションを行った。通常の2軸方式の台車については、自己操舵台車の開発に伴い、走行安定性と操舵性能を両立させることを目的として、理論解析や最適な支持剛性の条件などが検討され実用化されている。ところが、1軸台車については、必ずしも明快な理論が得られていない。よって、本研究における最終目標は、曲線での操舵性能に影響を与えると考えられる、軸箱支持剛性、枕ばね、車輪の踏面勾配などについて、台車の目的に応じた最適設計条件を求めることである。

本年度の検討においては、1軸台車の走行性能自体が必ずしも明確にされていないため、先ず、シミュレーションによって、基本的な特性を把握するための解析を行った。曲線旋回性能の指標には、輪軸の左右変位、アタックアングルおよび車輪に作用する横圧を用いた。左右変位は小さいほどフランジ接触が避けられるため好ましい。横圧とアタックアングルは、アタックアングルが小さいうちはほぼ比例関係を持つため、やはり小さいほど好ましい。理想的にはアタックアングルがゼロであるパーフェクトステアリングが達成されることが望ましい。横圧は一般的に曲線旋回性能の指標として用いられ、軌道破壊や、車輪やレールの摩耗などに影響を与えるため、当然小さな値ほど好ましい。

1軸台車は、海外において、独立回転車輪を用いたり、油圧やリンク機構による強制操舵機構を持つ場合もあり、これらの検討も今後必要と考えられるが、本年度においては、通常の輪軸を用いて、油圧などの特別な操蛇機構がない場合の検討を行った。

 

(2) 解析車両と解析モデル

想定した車両は、走行安定性の検討に用いたモデルを用いたが、以下の点で異なっている。

・踏面形状:在来線円弧踏面形状(等価路面勾配1/7)

・ゲージ:1067 mm

・レールは新品50Nレール

こららの変更は以下の理由による。安定性の解析に用いた車両諸元では、だ行動の安定性を確保することを主体としているため、踏面勾配が小さく曲線旋回上は不利であり、車両条件を変化させたときに、曲線旋回性能の差が明確にでない可能性があるためである。よって、ここでの解析は、曲線旋回性能を重視したモデルとした。

基本的には、安定性解析と同様なモデル化を行っているが、次の点でモデルの精密化を図っている。

 

 

 

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