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体制移行諸国における地方制度に関する調査研究(?)

 事業名 地方自治に関する調査研究
 団体名 地方自治研究機構 注目度注目度5


ただし、断っておくが、ナホトカ市で行われているのは、ウラジオストク市とは違って、通常の理性的な論争であり、また指導者間の立場の違いが行政そのものを混乱させるような事態には至っていない。

 

6 まとめ

 

本稿は、沿海地方における政争に、リージョンとその中心市との関係、大統領全権代表の役割、市区の位置づけなどの、1998年憲法下でのロシアの国家建設に普遍的な要因が現れているのをみた。しかし、クライにおける紛争解決の方法は非常に特殊である。「燃料は同じだが、燃え方は違う」とでも言えよう。とくに問題なのは、政争から自立して機能すべき予算・決算・選挙管理・司法といった諸制度の自律性が敬われていない点である。この特殊性は、フロンティア社会、海港都市といった沿海地方・ウラジオストクの地理的性格によって生み出される。それと併せて、1990年以降、クライ・レベルでは2回(クズネツォフ、ナズドラチェンコ)、ウラジオストク市では何と6回も起こった政権交代の結果、旧体制との人的連続が小さいこと、そのためエリート間のゲームのルールが存在せず、政争が「仁義なき戦い」の様相を帯びることが挙げられよう。この点では、同じフロンティア社会でもノメンクラトゥーラ指導層が強固に生き残った、隣のハバロフスク地方との比較が有益だろう。

通常、ロシアのリージョン権威主義体制は、リージョンレベルのエリートが自治的に資源分配できる領域の存在をモスクワに承認させることによって成立した。多くの知事が連邦権力と結んだ「権限分配条約」はその表現である。しかし、沿海地方については、戦略要地であること、資源採掘地帯であること、エネルギー・輸送政策などにおいて中央の援助が必要であることなどの要因から、リージョン政治が中央政治と直結する傾向が元々あった。ナズドラチェンコは、大統領選挙に向けたリージョン籠絡のため「権限分配条約」締結が流行していた1996年5月においてさえ、次のように述べている。「(こうした条約とは)反対に、こんにち我国では、経済混乱を克服するため、厳格な垂直服従構造が求められている。沿海地方は、ロシア解体の下手人にはなりたがらないだろう」(107)(拙い表現だが、知事はこのように喋るのである-筆者)。同時に、ナズドラチェンコは、沿海地方政治を、ロシア全国や世界に向けた一種の演劇として演出することの意義を早い時点で学んだ。この点では彼の敵対者のチェレプコーフも同様である。1996年に一斉に行われた知事選挙の結果は、「自分のリージョンを重要地域であるかのように見せる」知事の能力そのものが勝敗を分ける政治的資質であることを示したが(108)、この点では、ナズドラチ

 

 

 

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