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令の合憲性審査事件(92.3.13)

? モスクワ市行政機関の権限に関する大統領令他の合憲性審査事件(93.4.2)

? チュコチ自治管区の連邦への直接編入に関する法律の合憲性審査事件(93.5.11)

? モルドヴィア共和国の大統領・副大統領の職の廃止に関する法律の合憲性審査事件(93.6.3)

? チェリャビンスク州の行政長官(知事)選挙の期日をめぐる事件(93.6.7)

? 北オセチアの難民問題をめぐる事件(93.9.17)

? カバルダ・バルカル共和国の裁判官の地位に関する法律の合憲性審査事件(93.10.1)

このうち、チュコチ自治管区に関する事件は後に検討するが、タタルスタンの主権宣言等に関する事件は、当時の憲法制定過程における重要な論点のひとつであったことを考えると、この期の憲法裁判所の活動のなかでとくに注目しておかなければならないであろう。憲法裁判所は、多くの点でロシア連邦憲法の制定と連邦とタタルスタンとの連邦条約の締結にゆだねつつも、タタルスタンの1990年8月の主権宣言がタタルスタンの法律が連邦の法律に優先する事態をもたらすものとし、これを違憲であるとした。93年憲法制定後は、直接に構成主体の「主権」問題が憲法裁判所で審査されることがなくなっているだけに、この点はより強調されてよい。

 

イ 95年以降の憲法裁判所の活動

 

93年憲法制定後、新たに制定された憲法裁判所法にもとづく憲法裁判所の活動は、裁判官の補充に手間取ったため、95年以降にはじまる。以下、地方制度と地方自治にかかわる活動の概要を分野ごとに整理してみよう。

(ア) 連邦制と構成主体相互の関係にかかわる事例

この分野で問題となるのは、連邦構成主体のうち、10ある自治管区の憲法上の位置づけと自治管区が属する地方(クライ)または州と当該自治管区との関係についてである。93年憲法は、その第66条で、以下のように連邦構成主体の地位を定めている。

? 共和国の地位は、ロシア連邦憲法および共和国憲法によってこれを定める。

? 地方(クライ)、州、連邦直轄市、自治州、自治管区の地位は、ロシア連邦憲法およびロシア連邦の当該の構成主体の立法(代表)機関が制定する地方(クライ)、州、連邦直轄市、自治州、自治管区の憲章によって、これを定める。

 

 

 

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