日本財団 図書館


(2)優れた都市環境の形成と自然的環境の保全

 

建築基準法や建築規制などにより対応する方法には限界があり、より積極的な手法の導入が必要である。また、小都市と小都市との間にある自然的環境の保全が重要な課題であり、地権者の協力や参画を図り得る手法の導入が求められる。土地利用の高度なコントロール手段が必要であり、規制のみに頼らないさらに能動的な方策を講じることが必要なのである。

 

ア 開発地区内においては、公的主体が都市づくりに必要な土地を包括的に取得して都市空間を総合的に形成する手法を原則とする。民間主体が利用する土地についても原則として売却を行わず、公的主体が土地の所有権を保有したまま、賃貸借契約を通じて建物の配置や意匠、利用形態などをコントロールするいわゆる「リースホールド方式」を導入する

 

イ 開発地区外における緑地等の保全については、土地所有者の意向に応じて、公的主体が買取り又は借地権等の権利設定を行う方法や、緑地等を管理する公的主体が土地所有者と協定を締結する方法を活用するなど、地権者の参画を得つつ積極的に保全管理を行う方式を導入する。

 

(3)土地投機の防止と円滑な土地取得

 

ア 土地の取得を行う十分な能力を有する事業主体を国が設立した上で、移転先地が選定された段階において、その圏域内の土地取得について事業主体に先買い権を付与するとともに、先買い又は収用等による場合の買取価格を例えば圏域の決定より前の候補地選定段階の地価を基準とするなど、土地投機の影響を排除した価格とする制度を適用する。また、移転先地の選定作業が開始される以前において、このような制度により実施されることをあらかじめ示しておく必要がある。

 

イ 開発用地として取得する土地としては、まず国有林野を含むまとまった規模の国有地を可能な限り活用する。同時に、地域で生活している者の土地を買収する際には、従前の土地所有者の生活再建のため、造成後の一部区画の利用権を優先的に譲り受ける権利を付与するなどの措置を講じるものとする。また、土地所有者の意向に応じて、土地買収に当たり、売買代金の支払いに代えて証券を交付し土地所有者が配当などを得ることので

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION