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が、これによれば、硬直化した組織が生き残れないのは多様化に対応できないかということになる。非常に示唆に富む法則と言えよう。

(3) 組織形態の変化

従来の組織論で言われたのはピラミッド型組織である。これは、トップの権限が最下層部にまで及び、下層部の情報が一元的にトップに集約される形となっており、生産組織には最適な組織形態である。オペレーション志向の組織形態であり、大統領型(統率型)リーダーシップに適する。

しかし、このピラミッド型組織は階層が増えやすく、その場合、トップの指示・命令が最下層部まで伝わらない、あるいは、下からの現場情報が上まで伝わらないといったことが起こりやすくなる。

そこで生まれたのがフラット型組織であり、ピラミッド型組織の途中の階層を抜いた、いわゆる文鎮型組織である。この場合、組織内の個々人に権限が渡るため、総理大臣型(調整型)リーダーシップが必要となる。

以上2つの組織が現在までの組織形態であるが、今後はネットワーク型、すなわち、プロジェクトに即した創発型組織が増えてくると期待される。ここではプロデューサー型の、いわば面白いプロジェクトシナリオを書ける人間による創発型リーダーシップが求められよう。

従来のルーチン作業をいかに効率的にこなすか、という組織の目的は、確かにピラミッド型の組織によってある段階まで成功をおさめてきた。しかし、それだけでは企業競争力には限界があることがわかった。生産効率を重視した日本企業は、今後、創造的な活動を行なえる創発型ネットワーク型組織とそれを活性化するプロデューサー型人材を育てなければならない。

(4) 組織形態の規定

かつての経営学では、「組織は戦略によって規定される。」と言われていたが、現実には、戦略が組織に規定される例も少なくない。また、人的資源によって組織や戦略が制約を受けることも多い。すなわち、戦略、組織形態、人材が相互関係性を

 

 

 

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