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第4章 基礎的自治体の自己編成

 

1 行財政システム改革の推進に向けた川崎市の取組み

(1) 川崎市を取り巻く財政環境について

ア 歳入構造の変化

(ア)産業構造などの変化に伴う税収構造の変化

川崎市は東京都と横浜市の間に位置し、東京湾の沿岸から多摩地域まで南北に細長く広がっている。臨海部は京浜工業地帯の中央に位置し、大規模な重化学工業地帯となっているため、従来、財政が非常に強固なのだという見方がされてきた。この強固な財政構造は主としてこれらの工場・企業からの税収に支えられてきたが、産業構造の大きな変化に伴って、税収構造が大きく変わってきている。

地方団体の税収入においては、住民税と固定資産税が中核の税目となるが、固定資産税の中でも、土地、家屋と比較して償却資産のウェイトが高いことが川崎市の税収構造の説明をする上でよくいわれることである。昭和45年度の固定資産税・償却資産分が市税収入に占める割合は21.1%、さらに法人市民税を加えると市税収入の38%に達しており、こうした法人関係の税収人が川崎市の財政を支えてきたという経緯がある。

しかし、以下に述べる産業構造の変化が市税収入に深刻な影響を与えている。

変化の1点目は、高度経済成長から低成長への転換であり、これに伴い市税収入の伸びが鈍化している。2点目は生産拠点の地方や海外への転出・流出である。大規模な工場、特に内陸部の家電産業などの転出。流出が続いており、昭和44年度以降、面積1ha以上の企業の転出・流出が56件あり、延べ面積で260haが地方や海外に転出・流出した。3点目は産業の高度化である。産業別の従事者数の推移からも明らかなとおり、昭和45年度当時就業者数の約6割を占めていた第2次産業の比率が、平成7年度においては約3割まで低下しており、サービス産業と製造業の比率が逆転した。その結果、税収構造が大きく

 

 

 

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