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(エ) 自然体験教育の場を核機能として

自然体験教育の場を核機能としながら、次のような利用展開も可能である。

a 多様な利用展開

家族が一緒になって楽しめる市民農園、観光農園、アスレチックフィールドなど、また、オートキャンプ場も可能である。また、安価で清潔、安心して利用できる宿泊施設も提供できる。住民の、とくに高齢者の生涯教育の場として、健康保持のための野外スポーツ、レクリエーションの場としても利用が可能である。経験や技術の伝授やガイドなどに地元の高齢者にも参加してもらうことや、区民、住民同士、他所からの児童や高齢者を含めて幅広い交流の機会の活性化も図れる。また、物販の機会として来訪者に喜んでもらえる地元食材、産品の利用、提供、販売など多角的に展開できる。その他、ヨットハーバーなどが整備されれば、大きな活動の場となり自然体験学習の場として働きが大きくなる。

(オ) 留意点

・体験学習には地元の人々の協力が必要である。

・専門性への特化やそれに伴うプログラムの整備が必要である。

・オーバーユース(利用圧)は自然環境の破壊であり、連携やローテーションできる仕組みをもつことなど環境への配慮も必要である。

(カ) 民間事業化(住民参加事業化)の可能性

わが国においては野外教育を専門分野にする大学はごく限られており、民間団体で即戦力となる若者がいないのは当然のことといえる。学際的な研究や理論、経験豊かな実践方法などの伝達の場が不足している。逆にこれらが自然体験学習施設として体系的に整備され、施設や内容を充実すれば経営的視点を明確にするために委託事業として民間事業化も可能である。

野外教育へのニーズの高まりはあっても、専門家の存在なくしては成り立たないことから野外教育専門家養成学校が求められている。一方で、人材不足及び人材養成システムが確立されていない。またプログラム開発、リスクマネージメントといった制度上の問題を整備する必要もある。

 

 

 

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