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今、本町の若者定住で考えるべきことは、若者の「量」の問題よりはむしろ「質」の問題である。質というのは次の時代を拓く、新しいセンスや価値観をもった若者をいかに育成したり、あるいはIターンも含め、町の中に取り込んでいくかである。

当然住むための条件として「職」や「住(住宅)」の確保は必要なことではあるが、むしろ重要なのは若者が住んで誇りがもてる、楽しさを感じられる町づくりをいかに進めるかということである。

そのためには機能的に捉えるなら「遊」あるいは「交流」といった施策を重視し、若者ニーズに即した「自由さのある町」、「若者が主役になれる町」を創っていくことであり、UJIターンを含めた「多彩な人材が集う町」を創っていくことである。

今度策定される「町総合計画」においては、このことを基本理念に据えた町の方向づけが必要であり、地域住民のアイデンティティ(共通認識)の形成が必要である。

 

?地域内における「横軸」連携の強化。

若者が住むまち、住みたくなるまち、というのは地域活力に満ちたまちである。

地域活力とは「産業活力」と「文化活力」に集約される。本町は水産あるいは水産加工の町として、どちらかというとモノトーン(単一傾向)な産業構造である。産業に活力をもたせていくためには、基盤産業の高度化を進めるとともに、産業構造の多様化・サービス化への再編を図ることが重要である。そのためには、産業間(農業・漁業・水産加工業・商業など)の連携と複合化を進めること、いわば産業間の横つなぎの強化を図ることが必要である。

また、文化面で捉えると、自由と楽しさがあふれる「まち文化」を形成していく必要がある。そのためには、本町内の地区間、世代間の連携を活発にし、若者が主役になれる、あるいはリーダーとなれる多彩なステージを作り出すしていくことが重要であり、地区間・世代間の横つなぎの強化がやはり必要となる。

 

?公民協同と交流の促進

今後、ネットワーク社会がさらに進展するに伴い「地域間競争」が激化してくる。また、産業立地面においても「情報立地型」と「多彩な人材立地型」ともいうべき条件がより明確になり、教育・医療・福祉などの総合的な地域環境が立地要因として大きく効いていくる。

このような時代状況の中では「公共」と「民間」がいかに「協同」できるかということが重要であり、住民参加型のまちづくりや、徹底した情報公開や交流による公・民の相互連携をより緊密にし「まち」全体としての魅力強化を図っていく必要がある。

 

?但馬地域としての広域連携の促進

若者定住を図るためには「職、住、遊・交流、その他基盤」といった各種条件整備が必要なるが、それは必ずしも単一市町村の中で充足されなければならないものではない。むしろ各自治体が個性をもち、それぞれの役割分担と連携を図っていくことが望ましい。

本町の場合の広い意味での生活圏は豊岡市を中心とする但馬地域である。本町の若者が、豊岡市へ通勤する、あるいはJターン者が豊岡市まで戻ってきて、本町に通勤するといったパターンなど、広域的な生活圏の広がりの中で、若者定住の条件づくりを考えていく必要がある。

但馬地域は「地方拠点都市地域」に指定され「交流と共生」をテーマに広域的な取り組みがなされようとしている。この中で若者定住の議論を十分に行い、それぞれの役割分担に基づいたまちづくりと広域圏連携での共同施策を推進するとともに、とりわけUJIターン者に対する各種情報提供などについては、優先的な事業として取り組んでいく必要がある。

 

 

 

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