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第1章 我が国におけるGISへの取り組み動向

 

1 GISの概要

 

(1)情報提供における地図の優位性

 

地図は、「何がどこにあるかという空間の構成を多くの人々が共有することを目的として、図に表現したものであり、その歴史は、おそらく文明の始まりまでさかのぼる」といわれており(『都市と地図情報システム』マップインテグレーション研究会、1992、P.2)、古くから人々の生活において、様々な目的に利用されてきている。

地図は、様々な情報を表現するための手段として優れた方法の一つである。例えば、駅から家までの道順を表現する際、文字だけで表現すると困難であるが、地図を用いて表現するとわかりやすい。日本全土の人口分布を表現する際も、地図に色分けして表現するとわかりやすい。このように、地図は場合によっては、文字や数字よりも優れた表現手段であるといえる。

地図は、その表現内容によって、「一般図」と「主題図」に分けられる。国土地理院で発行されている1/25,000、1/50,000地形図や、1/200,000地勢図などに代表される一般図は、地形や集落、交通路などを主体に表現されており、利用者が読図することによって、様々な目的に用いられるものである。一方、土地利用図や気候図、土壌図、人口分布図などの主題図は、一般図を基に、ある主題を強調して表現されており、作成者が目的を持って作成されたものである。

さて、地表面で生じる様々な事象について、その多くは地図に表現することができる。とりわけ、自治体が保有する情報の多くは、住民情報、施設情報、土地・建物情報など、地図に表現することができる。これらの情報を地域住民に対し提供し、住民サービスの向上、住民の積極的な行政参加、さらには地域の活性化を図るために、地図を媒介とした情報提供をおこなうことは有効である。

 

(2)GISとは

 

地図及びそれに係わる様々な情報を提供する手段として注目できる技術として、地図をコンピュータで扱うシステム(GIS)がある。

 

 

 

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