3.4 流速ベクトル分布計算結果及び検討
各港における流速ベクトル分布を港内各点での津波波高時系列と共に検討した。
3.4.1 能代港
能代港における津波波高時系列出力点を図3-4-1に、津波波高時系列及び津波流速時系列を図3-4-2(1)〜(3)に示す。
港口から港内に進むに従い、津波の波高が増幅している様子がわかる。また、特に港奥の地点4では波が変形し、前面が切り立つようになっているのがわかる。最大の波である津波の第1波が港口の地点1に達するのは地震発生後約27分後、港内中央の地点2に達するのは約31分後、港奥の地点4に達するのは約35分後である。
能代港における流速ベクトル分布図を図3-4-3〜図3-4-5に示す。
地震発生後25分後では、津波の第1波が港口に到達するのに伴い、防波堤先端部付近で、港内に流入する流れが見られる。流速は防波堤突端周辺で2m/secを越えている。地震発生的30分後には津波が港内中央部まで侵入しているのに伴い、港中央では最大約3m/secの流速が見られる。港奥まで津波が侵入する地震発生35分後には港口近辺では流れが流出に転じており、最大流速は約4m/secである。
能代港の内外において流速の大きくなる水域を調べるため、最大津波流速分布を流速300cm/secの等値線として図3-4-6に示す。図をみると、能代港内では防波堤先端部、防波堤と埠頭用地で挟まれる水域、米代川と隣合う泊地入り口等、港外では火力発電所建設予定地の護岸外側、護岸内から南一帯が大きな流速の生じる部分となっている。