日本財団 図書館


では実際に燃やしてみましょう。
マッチで最も燃やし付けやすいものは、紙や落ち葉のような薄いもの、細いものです。しかし、その反面、短時間で燃え尽きてしまいます。
これに火をつけて燃え始めたら、それより少し燃えつきにくいけれども、燃え始めるともっと長時間燃え、熱量も多い細い小枝を火の上に乗せて燃やし付けます。
それが勢い良く燃え始めると、更に太い小枝をその上に組み、それが燃え始めると更に太い薪を乗せます。
ここまで来る段階で、火の勢い(燃える状態)をよく見ないでむやみに太い薪を数多く乗せたり(くべる)しては、せっかくの火が消えてしまいます。対流の邪魔をしたからです。
だからといって、数が少ないと輻射で熱が伝わらないので、せっかく段々と大きくなりはじめた火も、燃えつかないうちに火が小さくなってしまいます。
対流と輻射の効果をうまく利用して、薪を組む(くべる)ことによって火は自分の思うように燃やすことが出来るのです。
こうして燃やしつけた火も、時間が経過すると最初に燃え始めた薪が、火の塊になって炎が出なくなり、燃えている薪の真下に溜まってきます。そうすると、下から空気が入ってこないため薪が燃えることができなくなり(酸化できない)、薪が煙りはじめます。
その時は薪をくべるのではなく、空気が入りやすくなるように、下方を開けなければなりません。
類人猿にはそのような知恵が働かないから、火を使うことができないのです。
野火で火を燃やす場合、薪は一定の条件ではありません。樹木の種類、形、太さ、堅さ、乾燥度とまったく同一のものはないのです。それが自然なのです。
したがって、考える能力、判断する力のない人は、火を上手に燃やすことはできないのです。
★薪の乾燥の度合いを知る方法
普通手に取って太さに比して重い薪は、水分を多く含んでいる湿った薪と判断されますが、樹木の種類によって重くても乾燥している薪もありますから、簡単には決められません。
素手で握ってみて、常温より冷たく感じる薪は湿った薪・生木だと判断することができます。
理由は、含んでいる水分が蒸発して気化熱を奪われているから冷たいのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION