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指導者の心得

小野田自然塾

指導者養成キャンプ

指導者はキャンプ期間中参加者の人命を預かる重大な責任があります。

特に子どもの場合実地調査は勿論、計画、実施全般にわたり細心の注意が必要です。

どんな立派な理想を掲げたキャンプであっても、事故があっては子どもたちを立派に育てようとする目的はすべて失われ失敗したことになります。絶対にあってはならない事です。指導者はこの事柄をかたときも忘れてはなりません。

本塾は別紙に記載されている通りの目的と主旨をもって活動していますが、そのキャンプについて一般通念となっているキャンプ、つまりレジャーとの相違を知っておいてほしいと思います。

子どもたちのキャンプと大人のキャンプとの異なる点は、子どもたちは興味が無ければ自主的にならないと言ふことです。我を忘れて力いっぱい行動することで自分の内に潜んでいる能力が発揮でき、それを発見して自信につながるのです、言ひかえれば自己の発見です。

そうでなければ単にただの知識の吸収であり、体得した自己生涯のものになったとは言えません。

だが、問題はそこにあります。無中になることで子どもたちは注意された事をすっかり忘れて行動します、事故はここに発生するのです。

では、どうすれば防止できるのか。それは常にその現状において次の瞬間にどのような事態が発生するかを予測して、再度注意を喚起するか、場合によっては自ら行動を起こして危険な場所にたちはだかる事です。

それには旺盛な責任感と豊富な経験が必要です。だが、実際に子どもたちと行動している時は子どもたちと同じ目線で行動していなければ、子どもたちは指導者に監視されていると感じて、決して赤裸々な姿のまま行動し、回りの子どもたちと交わりません。それでは野外に出かけてきた意味がないのです。

野外で出会う自然は実に複雑多様でかつ広範囲です、したがって私たちの知っている事柄はその中のほんの一部だと言ふことを忘れてはなりません。

大自然に対して私たち人間は本当に非力です、ですから常に危機感を持ち続けていなければならないのです。

 

 

 

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