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献体35年

 

慶応義塾大学医学部

 

慶應義塾大学解剖学教室は、大正6年の義塾医学部開設に伴い、大正7年に岡嶋敬治が初代解剖学教授として着任して以来、78年の長い歴史を有しています。この中で慶應義塾大学篤志会の会員登録は、昭和37年第1号の登録以来、篤志の方々の尊い御意志に助けられ、現在まで、3,000名以上の方が、登録されておられます。献体運動当初は、解剖学教育の為の解剖体の入手は困難な状態でありましたが、近時、「自分の死後は医学のために自分の身体を解剖してもよい」との御意志をはっきり表明され、医学の発展に対する深いご理解のある方達の増加および、その御親族の方々の御協力によって、幸いにも篤志の方達の御献体により、解剖学実習が行えるようになって参りました。医学生にとって、篤志献体による解剖学実習は、医学の基本的知識の修得のみならず、医師としての倫理観を養う上で非常に重要な要素であります。医学教育に携わるものとして、御篤志の方達の御協力を思うと、医学の教育及び研究の発展のために、絶え間ざる努力を傾注していかなければならないと、一層その責任を痛感する次第です。
献体してくださった諸霊に対しましては、例年9月に芝の大本山増上寺におきまして、病理解剖、および法医解剖に御遺体を提供された諸霊と合同で、御遺族をお招きし、慶應義塾大学医学部解剖諸霊供養法会を執り行い,医学生を含め大学関係者一同で、ご冥福をお祈りしております。また、当日午前中には、多磨墓地内の慶應義塾大学医学部の墓前において、系統解剖の後に墓所に埋葬されておられる諸霊の供養の墓前祭も執り行わせていただいております。
我々は、解剖学教育が、献体という尊いご協力の上に成り立っていることを肝に銘じ、御篤志の方達のお心を無にしないような解剖学教育と献体運動を今後も行っていきたいと考えています。

 

 

 

 

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