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5. 企業年金財政の現状〔第78〜8了表参照〕

企業年金の財政は悪化の一途を辿り、その将来は深刻となっているといった事情が報道されています。それはこれまでのバブル崩壊後の不況下で運用損を抱え、今後の低成長見込みでは年金数理計算の前提となっている高い運用利回りは到底期待できない上に、日本人の平均寿命の伸長、出生率の低下、人口の高齢化という抵抗できない構造要因が進行してきているからである。(なお、平成9年1月31日の年金審議会では、(1)一律5.5%の運用利回り(予定利率)を一定の範囲内で各基金が独自に設定できる、(2)労使合意に基づき、基金の“上乗せ”給付額の減額を可能とする等の制度改正案を新年度から実施することを決定−その結果、基金間格差の拡大が予想される−という報道も最近なされている。
ア. そこで、企業年金制度を導入している企業に対し、企業年金の財政状況について尋ねてみたところ、「当面、特に問題はない」との回答割合は31.5%に過ぎず、「不安を感じている」との回答が65.4%もあり、既に「コンサルティング会社を利用して相談している」との回答も1.7%あった。
これらの状況は、企業規模別にみても、また産業別にみても概ね同様であったが、「当面、特に問題はない」の割合が特に少なく、逆に「不安を感じている」割合が特に多かったのは、規模別では「5千人以上」の大企業であり、産業別では工場の低賃金途上国への移転が云々される「製造業」であった。
イ. また、「不安を感じている」と回答した企業に対して、どの様に対応しているかを尋ねたところ「具体的対応策を今後、検討する必要を感じている」との回答が45.7%、今現実に「検討中」との回答が43.0%あり、企業規模別、産業別でも概ね同様であった。これは、年金の支給開始を50歳台に可能にするなど個々人の年金算定事務が複雑化してきている事情や、前述した制度改正の必至の状勢への対応の仕方をどうするか、等種々の検討課題に当面しているのためと思われ

 

 

 

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