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II.便潜血検査受診率向上への取り組み

A.対象

熊本市を除く郡部を中心とした熊本県下の67市町村を対象とした。なお、67市町村の老健法による大腸がん検診対象者は419,770名で、このうち63,302名(受診卒15.0%)が実際に大腸がん検診を受診した。

B.方法および結果

67市町村の検体回収形態の内訳は、便潜血検査用の検体の単独回収24団体(35.8%)、基本健診、肺がん検診と同時に検体を回収する形態19団体(28.4%)、胃がん検診と同時に検体を回収する形態4団体(6.0%)、基本健診と同時に検体を回収する形態3団体(415%)、これら以外の各種検診の組み合わせで剛寺に検体を回収する形態6団体(9.0%)であった。肺がん検診、基本健診などを中心に67団体中43団体(64.2%)が複合検診として実施されていた。 回収形態別の受診率の比較を表1に示した。単独検診では受診率は9.4%にとどまっていたのに対して、複合検診では平均22.2%と高くなっていた。

平成11年度の受診率の目標である30%を越えていた15団体について検診形態の内訳をみると、単独検診は2団体と少なく、基本健診と肺がん検診の組み合わせによる複合検診実施団体に受診率30%を越えた団体が多かった(表2)。次に平成7年度の目標受診率16.4%を越えた39団体の検診形態の内訳についてみると、単独検診は24団体中4団休(16.7%)と少なかったが、基本健診と肺がん検診の複合検診では19団体すべてが16.4%を越えていた。肺がん検診との組み合わせでも11団体中9団体(81.8%)と高かった(表2)。

住民への採便キットの配布方式には、対象者全員に配布する場合と事前に希望者を募って配布する場合との2通りがある。この2通りの場合における受診率を比較した。対象者全員に配布した39団体の受診率は26.1%と高かったのに対して、希望者へ配布した28団体では8.7%と低く大きな差がみられていた。さらに、回収形態別に希望者への配布と対象者全貝への配布の場合の受診卒の比較を表3に示した。希望者への配布の場合は、単独検診よりも複合検診の方が受診率が高く、対象者全員への配布の場合は単独検診と複合検診では特に差はみられなかった。次に単独検診の場合の配布方法による受診率の差が、自治体の人口規模によって異なるかどうかを検討した(表4)。その結果いずれの人口規模においても対象者全員に採便キットを配布した方が受診率が高く、人口規模による違いは認めなかった。

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