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 本日の「ふるさと環境シンポジウム」の高知県での開催にあたりまして、皆様にはお忙しい中お集まりいただき、また、本県での開催にあたりましては、多大なご協力とお力添えを賜りました自治省、財団法人自治総合センター、日本財団の皆様方に、心から感謝を申し上げます。
 今日、私たちの直面している環境問題は、生活廃水による水質汚濁、自助車の排気ガスなどによる大気汚染、そして各都市で発生しているゴミ問題など、私たちの生活に関わりのある諸課題から、また、グローバルには、地球の温暖化の問題、大気圏のオゾン層の破壊、酸性雨や熱帯雨林の減少といった地球規模での課題が広まってきています。これは、将来を生きる世代にとっても深刻な影響が予想される状況です。
 このように多様化・複雑化している現境問題に適切に対応するには、私たち行政はもとより、県民・事業者の皆様が一緒になって、それぞれの立場で考え、行助しながらさまざまなハードルを超えて行かなければなりません。さらに、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイル、事業活動を思いきって見直し、経済社会のしくみ、私たちの日々の生活のあり方を、環境にやさしいものに変えていくことが重要な操題になってきています。
 幸いにして、本県は緑豊かな山々、四万十川に代表される数多くの清流といった豊かな現境がまだまだ多く残されています。こうした恵まれたすぱらしい現境を守り、一層より良い現境を育みながら、次の世代に引き継いでいくという観点から、県では昨年現境基本条例を定めております。そして引き続き環境行政の羅針盤となる環境基本計画を策定しており、ほどなく完成の予定です。これと合わせ地球環境の保全のために持続的な取り組みをしていくため、133の行動計画からなる「ローカルアジェンダ21高知」を策定しました。県民参加型の策定委員会によって13日に取りまとめをいただいたぱかりの計画です。
 この「ローカルアジェンダ21高知」については、この後の対談やパネルディスカッションでも取り上げられ論じられることと思います。県民・事業者・行政が一体となって協力し、高知県のすばらしい、ふるさとの環境保全のために、また、地球環境の保全のために、取り組んで参りたいと思っております。皆様方にはこれまでにも増してのご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 折りしも、司馬遼太郎先生を偲ぶ特別展が中央公民館で今日まで開かれており、その中で目にした言葉に「人間は自分で生きているのではない。大きな存在(宇宙や自然現境)によって生かされているのだ」というものがあり、しばしその前に佇んでしまいました。このような尊い言葉にも思いをいたし、今日の「ふるさと環境シンポジウム」が、皆様方と共に「身近な行動が地球を救う」ということを考え、行動につなげていく第一歩となりますよう、そのチャンスメーカーとなりますように心から念願いたします。

 

 

 

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