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? 国際機関誘致の課題

 

次に、アンケート調査の結果から、検討すべき問題点と思われるものを提示する。

 

? 国際機関を誘致する動機と誘致した結果との乖離
アンケート調査の結果明らかになった課題の一つとして、国際機関を誘致する動機と誘致した結果の乖離があげられる。現在国際機関を誘致している団体においては、誘致の動機として、地域レベルの国際交流の推進の一環として、また地域レベルの国際協力・貢献の推進の一環として、という回答が62%を占めたものの、国際機関を誘致したことによる効果としては、まちのイメージアップになった、あるいは住民の国際感覚の涵養が図れた、という回答が67%を占めている。このことは、地方公共団体による国際機関の誘致が必ずしも当初の目的を達成できていない面があることを示している。
また、実際にどれだけまちのイメージアップにつながっているのかということ自体、例えば我が国以外の国から、あるいは他の地方公共団体から、当該国際機関の存在がどの程度認識されているのかといった点等について、具体的な検証が必要な問題である。

 

? 国際機関との連携・協力の現状
?と同様の傾向が、この点についても現れている。すなわち、現在国際機関を誘致している団体において、誘致に際して「専門分野における研究ノウハウの提供・連携」をPRしたとの回答は、「施設の提供・補助金の交付等財政的支援」と並んでトップ(29%)だったが、現在の連携・協力のあり方について、「専門分野における研究ノウハウの提供・連携」を行っているとの回答は13%にとどまっている。
もとより、国際機関にとってみればどこに立地するかは便宜上の問題であり、その業務内容とは論理的な関連性が必ずしもあるとはいえない場合が多い。また、研究分野や手法、体制等についても、まず第一義的にはその国際機関の構成国の意向が反映されるというのが原則であり、必ずしも地元の地方公共団体の意向を反映するような仕組みがビルトインされている例は極めて少ない。そのような条件の中で共同研究を実施していくためには地方公共団体側の相当な努力が必要である。例えば、地方公共団体の研究機関や公立大学等、地域に存在する大学、研究機関、企業の研究部門等との連携を図っていくうえで、国際機関にとっても魅力のある研究テーマを設定し、優秀な研究者を提供するなどの努力が求められるものと思われる。

 

 

 

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