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第1章 地域レベルの国際化施策の多様化と国際機関の誘致

 

近年、交通手段、情報通信技術等の発達により、各国間・各地域間の時間距離が急速に短縮され、国境を越えた人、モノ、情報等の往来が飛躍的に増大している。
このような状況のもとで、我が国でも産業活動に限らず、社会・経済・文化のあらゆる面で、海外からの影響が日常的な問題として地域における住民生活の場にも及んできている。また、在住外国人の増加や、企業の海外取引の増加など、地域レベルでの海外との接触や関係の増大がみられるようになり、さらに環境問題など国境を越えた新たな共通問題の解決の必要性も出てきている。
このように国の枠を超えた相互依存関係の深まりと、地球的規模の課題の深刻化に伴い、地方公共団体レベルでの国際化や国際交流の果たす役割の重要性が世界的に認識されるようになってきている今日、地方公共団体も、地域社会の開放性を高め、世界に開かれた社会を形成していく必要があるだろう。そのためには、行政、住民、民間組織等が一体となって、総合的かつ計画的に国際化に取り組むことが必要であり、特に地域の総合的な経営主体である地方公共団体は、国際化・国際交流のための施設基盤整備、人材の育成、各種交流事業の実施、在住外国人対策、国際協力などの地域の国際化施策を積極的に推進することが望まれているものと思われる。
地方公共団体が行う国際化施策を内容的に整理すると、姉妹都市交流をはじめとする国際交流、開発途上国等に対する国際協力、地域の国際化への対応(内なる国際化)の大きく3つに分けることができる。
姉妹都市交流は、昭和30(1955)年に長崎市とアメリカのセントポール市が姉妹都市提携を締結して以来、提携数が着実に増加している。平成9年1月1日現在での提携数は、1,218組、提携地方公共団体数は39都道府県774市町村となっている。近年における姉妹都市交流は、単に提携数の増加といった量的な面のみならず、内容・質的な面で大きな変化が生じている。具体的には、教育、文化、スポーツ交流等、各地方公共団体の特性を活かした様々な交流が展開されてきていることや、北方圏、環日本海圏など、共通地域を交流圏として位置づけ圏域内での深化した交流を目指すなど、国の枠を越えた地域圏における交流などが挙げられる。
開発途上国等に対する国際協力は、国際交流の内容が、従来までの友好親善を中心としたものから、技術交流、海外からの研修生受入等を通じて、相手地域の経済発展や人づくり、技術の向上などへと進展してくるに伴い、活発化してきている。平成7年4月には、(財)自治体国際化協会に自治体国際協力センターが設置され、地域レベルの国際協力に関する情報の収集・提供を行うなど国際協力に対する支援体制の強化が図られたこともあり、多くの地方公共団体では、農業技術、消防など様々な分野で工夫を凝らした取組がすすめられており、自らの地域の

 

 

 

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