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を踏まえつつ、本制度の整備を進めていくべきものと考える。」
2 個別事項
ここでは、国際課税における地方税独自の問題について、委員会での東京都及び横浜市の報告やアンケート調査等を通じて地方団体がら出された意見、提言を踏まえ、個別事項について整理する。
ただし、今回の研究では時間の関係もあり、それらの個別項目について具体的な検討を行っていないため、それについては後の研究を待つこととし、ここでは、地方団体がら指摘のあった意見のいくつがを紹介することとする。
(1)個入所得課税関係
ア 非居住者の地域費用の負担
入国した外国人に対する住民税の課税は、入国後継続して1年以上居住することを通常必要とする。職業を有する場合は入国当初から非永住者又は非永住者以外の居住者として取り扱われる(推計)が、ほとんどの外国人の場合は入国後1年を経過する日の翌日から非永住者として課税要件となる住所を有することになり、賦課期日現在の住所地の市町村で課税することになる。
したがって、1年未満あるいは1年を超えても賦課期日前に出国すると所得税は国内源泉所得に課税されることに対し、住民税は課税されないことになる。
一方、住民税は、市町村の重要な財源であり、地域費用の負担という性格を有しているものであり、居住している間は一定の行政サービスを享受していることが考えられる。
このようなことがら、外国人の国内源泉所得については、賦課期日に住所を有していない場合においても、住民税を課すことを検討してはどうかとの意見があった。
また、この場合には、賦課期日という概念がなくなることから、地方税である住民税の課税権がどの市町村に帰属するがということが問題になる。
一般的には、出国時に
? 外国人登録がある市町村、
? 居所がある市町村
が考えられるが、納税等の手続きや所得税の出国する場合の確定申告などを考慮すると居所がある市町村が適当ではないかとの意見があった。
他方、これに対しては、そもそも賦課期日に住所を有しない者に対して課税することは、住民税の課税権の根幹にかかわる問題であり、慎重な検討が必要ではないかとの意見があった。
イ 年の途中に居住者となった者の非居住期問所得の取扱いについて
年の途中に居住者となった者の非居住期間の給与・報酬等の所得は、所得税では源泉分離課税とされているが、住民税では総合課税とされ、確定申告書の住民税に関する事項欄の記載に基づいて課税することとされている。
例えば、国外勤務がら国内勤務を命じられた内国法入役員の国外勤務時の給与所得や外国人で入国後1年を経過し非居住者がら非永住者になった者の非居住期間に

 

 

 

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