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第三節 国際化に対応した地方税制の運用の実態

1 地方団体の対応状況
(1)外国人、外国法人に対する賦課徴収の困難性
外国人や外国法人が日本に進出した場合において、税制、特に地方税制の相違や言葉の問題などから我が国の地方税に対して理解が得られにくく、地方団体においては賦課徴収に苦労しているという現状がある。
地方団体の果たす役割や国税・地方税体系をどのように構築するかなどについては国ごとに差異があるため、税制、特に地方税制は国によって様々である。
日本に進出する以上、日本の税制を知ることは基本であるが、国によって税制が異なるということは、日本の、特に地方税を理解させることが容易でない原因でもある。
所得に対する二重課税を防止するための租税条約を見ると、平成8年4月1日現在、日本の住民税又は事業税が一般対象税目として条約の対象に含まれている国は26か国あるのに対し、相手国の地方税が列挙されている外国は16か国というのが実情である。
このような事情もあり、日本に進出している個人や法人の中には国税である所得税や法人税以外に地方税である住民税や事業税が課税されることの理解が必ずしも十分でない場合がある。
この影響は、税の徴収段階で現れることになる。例えば、租税支払の際、税務署に国税を納付したことで税は完納したものと思い込み、本国に引き上げてしまったような場合、結果として地方税が未納となることが起こり得る。日本国内に関連会社や取引先あるいは身内があるような場合には、それらの者の協カを得るという方法が考えられる。また、日本国内に資産があり、かつ、日本国内にその資産の管理人等がいれば、それらの人物を通じて連絡をとることも可能と考えられるが、それ以外の場合には、まず、納税者本人と連絡をとること自体が極めて難しい。
また、納税交渉に当たっては、言語の違いや、遠距離のためフェイス・トゥ・フェイスの関係がもてないこと等に加えて、日本の租税制度の理解を求めることから始めなければならないという問題がある。
(2)アンケート調査結果
そこで、地方税制の運用について、日本語の通じない外国人や日本のような地方税制度に馴染みのない外国人や外国法人に対して地方税制度の仕組み、納税手続き等を分かりやすく説明しなければならないなど、日本人や内国法人と異なった対応が必要と考えられることから、当委員会ではアンケート調査(第三部参照)を通じて各団体でどのような施策を講じているかについて調査した。
外国語で納税通知書を作成するなどの対応を行っているか尋ねたところ(都道府県に対して外国法人に対する対応状況、市町村に対して外国人に対する対応状況を尋ね

 

 

 

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