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に50%超の株式を保有される子会社等)に留保された所得を直接、間接に5%以上の株式を保有する居住者、内国法人の所得としてその持株割合に応じ、合算課税するもの。
移転価格税制:法人と国外関連企業との間の取引価格(移転価格)について、第三者との間の通常の取引価格(独立企業間価格)と異なる価格を付すことにより法人の課税所得が減少する場合には、その取引は独立企業間価格で行われたものとして、法人税の課税所得等を計算するもの。
過少資本税制:自国内の外国企業が資金調達する場合、海外親会社からの出資を少なくし、その分海外の関係会社からの借入れを多くすることにより、所在地国における税負担を意図的に減らす(配当は損金不算入、支払利子は損金算入される)ことを防止するため、国外支配株主等からの借入金が自己資本の持分相当額の3倍を超えた場合には、超過額に対応する国外支配株主への支払利子は損金に算入しないこととするもの。
以上、国際課税制度を概観したが、国際的な課税調整は国税のみならず地方税においても必要である。
以下では、地方税と国際課税について現行制度がどのようになっているかについて、国内法(地方税法)に基づく調整と二国間租税条約などの特例措置に基づく調整の二つに分けて、整理を行うこととする。
1 地方税法に基づく調整
地方税法の中で、外国人、外国法人に対する課税、あるいは日本人、内国法人が海外進出した場合に対する課税につき、課税権の帰属をめぐって調整の規定を置いているのは所得課税についてである。
消費課税及び資産課税については、基本的には日本人・外国人あるいは内国法人・外国法人の別により、取扱いを異にはしていない。
例えば消費課税についてみると、
特別地方消費税、ゴルフ場利用税:道府県内での利用行為に対して非居住者であっても納税義務が生ずる。(地方税法第113条、同法第75条、ただし特別地方消費税については地方税法第114条の3で外交官等に対する特例について規定がある。)
自動車税、軽自動車税:自動車、軽自動車の主たる定置場所在の地方団体において所有者に課税される。所有者が非居住者であっても同様。(地方税法第145条、同法第442条の2)。
地方消費税:消費税と同様の取扱いであり、課税対象は国内取引と輸入取引。国際取引については仕向地原則(国境を超えた取引が行われる場合、複数国の課税権の調整のために、財貨・サービスの使用・消費地を課税管轄地とする原則)を採用し、輸出を免税とし輸入段階で課税(国境税調整)。納税義務者は国内において課税資産の譲渡等を行った者及び外国貨物を保税地域から引き取る者であり、非居住者または外国法人であっても納税義務が生じる。

 

 

 

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