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広島市における高齢者にやさしいまちづくりの取組みについて

 

広島市企画調整局企画課長
湯浅敏郎
 
1 はじめに
高齢化は予想を上回るハイスピードで進展している。広島市は、昭和54年に「高齢化社会」に突入し、その後も全国レベルに比較すると低位ながら着実に高齢化が進み、平成7年の国勢調査時における高齢化率は11.9%に達している。これを10年前の昭和60年と比較すると、人口全体では6.2%の増加に止まるものの、老年人口だけを見ると50.3%増と著しい増加を示しており、既に、第3次広島市基本計画(平成元年5月策定)の策定にあたり推計した平成12年時の値と同レベルにある。
 
表1 広島市における高齢化の進展
 

 
高齢社会は、かつて経験したことのない新しい構造の社会であり、高齢化への対応は、まちづくり全般に関わる大きな課題である。寝たきりや障害、痴呆などで介護を必要とする高齢者に対しては、「保健・医療・福祉の連携」による「在宅ケア」を中心とした対策が必要であり、健康な高齢者に対しては、「社会参加」や「生きがいづくり」のための施策の推進が必要となろう。また、ノーマライゼーションの観点から、高齢者が安全で快適に生活できるように「バリアフリーのまちづくり」による都市現境の整備も緊急の課題である。
広島市では、平成8年度から総合計画(基本構想、基本計画)の改定に着手している。計画改定に当たっては、21世紀を見据えた新たな時代の潮流への対応を念頭に置く必要があるが、高齢社会への対応は、その最重要課題の一つとして、全庁的な取組みが求められている。
また、この計画づくりの基礎資料とするため、平成8年8月に実施した『市民まちづくりアンケート調査(以下「市民アンケート調査」という。)』では、市政への要望項目の中で、今後行政が最も力を入れるべきものの第1位に「高齢者のための福祉」があげられており、高齢社会における市民ニーズの増大がうかがわれる。
本稿は、こうした高齢社会に対する市民意識やニーズ等も踏まえながら、広島市における高齢者にやさしいまちづくりへの取組みと今後の課題について述べるものである。

 

 

 

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