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神戸市における「高齢者にやさしいまちづくり」
神戸市震災復興本部総括局企画調整部企画課長
横山公一
 
1.神戸市の高齢者の状況
神戸市内の人口は、総務庁「平成7年国勢調査報告」によると、平成2年の前回調査より53,618人、平成6年10月1日現在の神戸市推計人口(「第72回神戸市統計書」)より95,190人減少して1,423,792人となった。また、世帯数も平成6年10月1日現在の神戸市推計世帯数(「第72回神戸市統計書」)より、42,126世帯減少し、536,508世帯となった。特に、阪神・淡路大震災による被害の大きかった東灘区、灘区、中央区、兵庫区、長田区、須磨本区では、平成6年推計人口・世帯数よりそれぞれ137,648人、62,696世帯減少している。これらの人口・世帯の動きは、震災要因のものが多いと推測されることから、住宅の復興とともに、再び大きく変化していくことが予想される。
一方、高齢者に絞って「国勢調査報告」の統計をみると、神戸市内の65歳以上の高齢者の人口に占める割合は、前回調査(平成2年)の11.5%から13.5%に、上昇している。
「神戸市市民福祉調査委員会」の「高齢者生活実態調査報告書」によると、高齢者の日常生活動作能力は、加齢に従い、全般的に低下してくるが、中でも「歩行・移動」、「視力」、「入浴」について、著しい低下がみられる。要介護高齢者と推定されるものの介護者が「常にいる」人は61.9%で、残りの人は介護人が高齢等の理由により、十分な介護を受けることができない。しかし、要援護高齢者と推定される者の介護の意向については、自宅で介護を受けたい人が全体の85.1%を占めており、在宅介護ニーズが高いことがうかがえる。一方、施設入所の意向は、世帯類型ではひとりぐらし世帯、住居形態では借家、あるいは仮設住宅の居住者に比較的多い。
特に、震災による影響として、在宅福祉の基盤である生活の場の喪失、震災後の家庭環境の変化、それに伴う介護・養育などの家庭機能の喪失・低下、負傷等による心身機能の低下がみられ、また、地域福祉活動の担い手自身が被災したことにより、地域における支援機能の喪失・低下などを来している。
 
2 神戸市における高齢者施策の考え方
神戸市も他の大都市同様、従来より高齢社会への対応に努めてきた。昭和52

 

 

 

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