日本財団 図書館


バリアフリーのまちづくり

 

川崎市企画財政局企画室
主幹 江崎 真司
 
はじめに
本市の実施計画である「川崎新時代2010プラン第2次中期計画」においては、平成12年度までに3台のリフト付きバスを試行的に導入することとしている。平成8年秋、リフト付きバス導入に関する現地調査として、実際に車椅子に乗って川崎市内を移動した。現地調査で感じたことは、車椅子で安全に走行できる歩道の少ないことである。
違法駐車や違法駐輪が道を塞いでいる。5cmの段差があれば乗り越えるのは厳しい。車輪が溝に入り込み身動きができなくなる。低い位置から見える街の姿はいつもと異なり、多くの突出物に満ちている。
現地調査を行う中で見えてきたものは、効率優先で進めてきた日本の街の姿である。
 
リフト付きバス導入の目的はノーマライゼーションの理念の具現化を図ることであり、『バリアフリーのまちづくり』の一環として、車椅子を利用する障害者の移動手段を整備し社会参加の支援を行うものである。
単にバスを購入し走らせることにとどまらず、バス停留所の改造や、その場に行くための動線確保(道路・歩道条件の改善、停留所周辺の道路施設の整備)が必要となり、また、追い越しの出来ない車線では車椅子利用者がリフトによって乗り込み、バスが動きだすまでの数分間、他の車の走行を妨げることとなる。時間待ちをする運転手の心の問題も大きい。
ノーマライゼーション理念の具現化は、「まちづくり」全体に及んでいくものである。施設単体、つまり「点」を適路、公共交通機関、さらに短距離交通などの「線」とどのように結び、最終的に「面」として地域全体をどのように整備していくか。市民と行政の連携の仕組みも必要となる。
本稿では、「バリアフリーのまちづくりとは何か」を述べた後、川崎市における各施策の整理を行い、今後の方向性を示していくこととした。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION