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第二部 各論

 

東京都における「高齢者にやさしいまちづくり」施策の現状と課題
東京都企画審議室計画部計画担当課長
海老原 繁
 
1 生活都市東京構想の策定
青島都政が平成7年4月にスタートして、まもなく2年になろうとしている。知事就任の年の11月には、東京都総合3か年計画「とうきょうプラン’95」を発表し、「生活者の視点」を重視した都政運営の基本指針を示した。
さらに、「生活都市東京構想」を平成9年2月に策定し、より長期的な視点から、生活者がつくりあげていく生活都市東京のすがたと基本理念、そして新しい時代に向けたしくみづくりを都市政策として示した。「生活都市東京構想」は、都の「基本構想」として、「都民の生活を守り、支え、豊かにする、活力に満ちた生活都市東京の創造」を基本目標とし、その実現に向けた取組みの方向や施策を明らかにしている。また、生活都市東京の創造は、都だけではなく、都民、企業、区市町村、国などが協働と連携して取り組んでいくことが大切である。
対象としている期間は、平成8〜17年度の10年間であるが、より長期的な観点も視野に入れている。
 
2 高齢少子社会に対応したしくみづくり
都の人口の年齢構成をみると、平成7年の都内の出生数は10万人弱であり、第2次ベビーブームの昭和46年(23万人)の4割程度にまで減少しており、全国を上回るペ一スで少子化が進んでいる。同時に、高齢化も進行しており、平成7年の65歳以上人口は153万人で全人口の13%を占め、初めて0〜14歳人口(150万人)を上回った。今後、平均寿命が伸びていく一方で、20歳代および30歳代の人口の減少により出生数が長期的には低下していくことから、高齢化がさらに進み、10年後の平成17年には都民のおよそ5人に1人が65歳以上となると想定される。
 
高齢化の進行にともない、保健・医療・福祉サービスのニーズが今後急速に増大することが見込まれる。また、未婚率の上昇や晩婚化等による少子化の進行は、今後の社会や経済に大きな影響を与えることも懸念される。一方、生活水準の向上、価値観の多様化等により、都民のライフスタイルも大きく変わってきている。核家族、女性の社会進出等により、家族の機能に変化が生じ、ま

 

 

 

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