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第2章 大都市の高齢化社会における行政の役割
 
1 行政の役割
(1)組織・体制等の整備
行政は、常に高齢者等のニーズをくみ取り、要介護者をはじめとする高齢者やその家族に対して個別に適切なサービスを供給することが必要であり、そのための組織・体制の整備を目指していかなければならないと考えられる。また、利用可能な資源の中で最も効率的に施策を推進していくため、多様な施策を組み合わせた高齢者福祉のための計画を立案し、実施することが求められているといえる。
この中では、例えば、
?介護の必要な高齢者に対し行政が基本的な介護サービスを提供するとともに、地域の社会福祉協議会やボランティア等の行うサービスを紹介するなど、介護という1つの分野の中で適切なサービスの組み合わせを考えること
 
?入院から在宅療養・在宅介護への切り替えといった、複数の分野にまたがるサービス供給を円滑に行うことなど、各種のサービス間で調整を行っていくことが必要な取組のほか、
 
?健康づくり等の保健施策を充実することにより、寝たきり老人の発生を未然に防止し、医療費や介護費用等全体でコストの軽減を目指すこと
 
?巡回型の24時間ホームヘルプサービスや訪問入浴サービスなどを充実させることにより、家族の介護負担を軽減し、社会的入院に係る医療費の削減を目指すこと
 
?住宅、道路等のバリアフリー化を進めることにより、老人の在宅による生活を側面的に支援し、結果として社会的入院による医療費や老人ホーム等の施設整備費の軽減につなげること
 
なども含めて検討すべきであると考えられる。しかし、特に後者のような効果を期待する場合、実際にどのくらいのコスト削減につながるかを定量的に示すことは困難であると考えられる。このため、効率性だけで施策の組み合わせを考えることは難しく、結局は高齢者のニーズや地域の実状等を踏まえ、何に重点を置いていくか各団体がそれぞれ方針を定め、それによって施策の組み合わせが決まっていくことになるであろう。
また、サービスの需用者が求めることは、必要なときに、必要とする人による、必要なサービスを、大きな自己負担を負うことなく提供してもらうことである。このため、行政は、行政によるサービス供給のほか、非営利法人や地域・ボランティア団体

 

 

 

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