さらに、同法は、外国人が、外国船舶以外の船舶において「漁業等付随行為」をする場合についても、農林水産大臣の「承認」制を定めている(8条)。以上のように、外国船舶、及び、外国人の乗った日本船舶一般について、漁業資源に関する「探索」、「探査」等について、農林水産大臣の「承認」を要する。この「承認」という法的システムは、外国人の漁業活動に対する「許可」制を実効あらしめることを主たる目的として仕組まれたものと言える。
さらに、上記の排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律による「承認」システムには、承認申請の手数料(11条)、承認に付された制限・条件違反に対する措置(13条)等の規定が整えられているほか、刑事罰によって実効性が担保されている(19条)。なお、国連海洋法条約を受ける形で、担保金制度も導入されている(24条以下)。他方、大陸棚の鉱物資源については、鉱業法が適用されることになる。鉱業法は、未採掘の鉱物につき鉱業権によらずに採掘できない旨の規定(同法7条)によって、鉱業権なしでの試掘ないし採掘を禁止する。さらに、鉱業法は、外国人が鉱業権者となることを禁止している(17条)。また、海洋が「公共の用に供する施設」と解釈されるならば、鉱物の採掘について管理庁の「承認」も必要となる(64条)。
以上要するに、排他的経済水域・大陸棚について、漁業資源・鉱業資源の探査・開発に関する日本の「主権的権利」の内容は、行政組織・行政作用の両面において相当程度具体的な法的手当てが行われている。排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律、鉱業法のどちらの法的仕組みも、実効性担保のために刑事罰が置かれているため、その規制システムを適用するための法執行作用についても容易に根拠づけることができる。すなわち、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律3条1項により、漁業法による漁業監督官・漁業監督吏員、あるいは、海上保安庁法による海上保安官が、警察法ないし刑事訴訟法を適用して、海上において国内法令を執行するために必要な措置を行うことになる。
〔2−3〕海洋科学調査と国内法令
排他的経済水域・大陸棚における漁業資源・鉱業資源に関する調査について
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