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第2章

地域福祉

1 福祉行政のトータルマネージメント

斉藤弥生

(1)はじめに

高齢化率が上昇している中にあって少子・高齢化対策が急務となっている。ここではそのための施策をどのように提供すべきかという観点から、基礎自治体のあり方を論じてみたい。理想的な基礎自治体のイメージは、まず納税者がいて、彼らが納税をし、その税の使途について納税者の代表が議論して決め、その結果に従って税金が公共・社会サービスとして提供されるというサイクルである。そして、それが一定のエリアの中で行われ、その自治体の中で完結しているという形態が最もシンプルであり、望ましいと思われる。そこで大切なことは、市民の側から見て、次の点が実現されていることである。
◎自分の払った税金の使途が見え、納税者としての実感が得られる。
◎社会サービスを救貧としてでなく、気兼ねなく堂々と利用できる。
◎自分の意見が行政に反映される可能性がある。

現在、ほとんどの自治体では少子化、高齢化が進んでおり、これが次のような悪循環によって更に加速していくことが懸念される。

高齢社会の到来→生産労働人口の減少→女性の就労率の上昇→少子化→更に高齢化

しかしこれは克服できない問題ではないと考えられる。実際にスウェーデンでは、少子化対策として、福祉(保育、育児休暇、老人手当)を充実することにより、出生率の上昇に成功している。そこでは高齢社会において福祉に力を入れることは経済の動きを鈍らせるという議論もあったよう

 

 

 

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