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(2)内海離島を中心とした住民生活上の課題 離島地域は、環海性、隔絶性、狭小性などの特殊事情による制約から、近年の全国的な都市化、交通の高速化、情報化、国際化やそれに伴う急速な変化に追いつけず、所得をはじめとする各種の指標は全国的な水準に比べ依然として低位にある。

 この結果、離島人口の減少は顕著であり、特に若者の本土都市への流出と高齢化が進み、離島地域の活力が低下している。

 一方、生活圏域・交流の拡大の中、島外の諸機能の利用、離島のもつ特性に対する島外からの関心も高まってきている。さらに、生活水準の向上やニーズの多様化、高抜術化、国際化、情報化、高速交通化などは離島にも及んできており、今後とも多様な環境条件の変化が生じやすい。

 このため、離島における総合交通体系の整備、生産・生活の場の充実などによって安定した生活圏を確立するとともに、若者を中心として住民の定住を促進し、離島地域の活性化を図ることが今後の基本的課題である。

 

ア生活全般 生活面では輸送費が加算されるため、物価は一般的に本土より高い。さらに、本土都市にある各種公共施設や都市型サービスなどの利用に際しては、交通費分が追加的負担となっている。同時に、生活環境などの立ち遅れが、若年層の流出を加速し、交流の拡大を妨げ、高齢化の進んでいる地域社会の安心感を不十分なものにし、地域としての活力を低下させている。

イ生活環境施設廃棄物処理施設 下水道、公園などの基本的な生活環境施設も整備が進められてきているが、立ち遅れが目立つ。特に、下水道などの整備が遅れているため生活排水などによる河川や周辺海域の水質の悪化を招き、問題となってきているとともに、若年層の定着や島外との交流にとって大きな支障となってきている。また、住民がスポーツ・レクリェーション活動を行ったり、互いに交流する場所が不足がちであり、余暇活動の面でも本土に立ち遅れ、観光客が余暇活動を行う場所も充分ではない。

ウ住宅 離島の集落は、一般に平地が少ないために密集し、住宅を新設する場所が不足しており、2世帯以上の同居の場合も多く、プライバシーの確保にも配慮した若者定住のための若年層向け住宅、新婚住宅や高齢者向け住宅が不足している。また、集落及びその周辺の景観についても、うるおいや質の向上が求められている。

 

 

 

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