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 その後、1831年に引退し、14歳のペドロ2世がブラジル皇帝の地位についたが、これも長続きせず、1889年にテオロード元帥の率いる無血革命によって帝制は崩壊し、1890年に第1次共和制が誕生した。
 この共和制は、地主有産階級によって独占され、腐敗政治が続いたため、1930年に革命が起り、1937年に至ってバルカスがクーデターを起して、全体主義的憲法を発布し、新体制国家として独裁政権を樹立した。
 第2次大戦後、1945年にバルカス独裁政治に反対する軍部が再びクーデターを起して政府を倒し、1946年に新憲法を発布して第4次共和制が誕生した。
 以来、幾多の変遷を経て、1961年に大統領グラールが農地改革など革新的な政策を実施したが、左翼化とインフレを不満とする軍部が1964年に無血クーデターに成功し、ブランコ陸軍大将が大統領になった。
 軍事政権は徹底的に左翼勢力を弾圧し、政党を与党国家革新同盟(ARENA)と野党ブラジル民主運動党(MDB)の2大政党に再編するなど、民主主義を犠牲にして経済再編成に着手、1966年には新憲法を制定し、軍政令と合わせて大統領の権限を拡大した。
 以後、相次いで大統領がかわり、1995年1月フランコ大統領にかわり、現在のカルドーゾ大統領が高い支持率を得て、本格政権の期待を担い誕生した。
 わが国との関係でも、カルドーゾ大統領は海外最大の日系人社会のあるサンパウロ州を地盤とし、1993年には外務大臣として来日し、また、日本ブラジル経済協力関係の推進に強い関心を示すなど、知日派、親日派として知られている。
 わが国とブラジルとの関係は、1895年の修好通商条約の締結によって始まった。
 その後、1908年の笠戸丸以降の移民、1930年代の綿花輸入の拡大などを通じて密接になった両国の結び付きは、第2次世界大戦で一時中断したが、戦後1952年の平和条約によって、外交関係が復活し伝統的に緊密な友好関係にある。また、国際場裡においても協力関係を維持している。
 貿易関係では、わが国は機械機器、自動車、電気機器、化学製品などを中心に輸出し、ブラジルから鉄鉱石、鉄鋼、木材パルプ、コーヒー、大豆などの食料品を輸入している。

 

 

 

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