ペルー政府は、輸出貨物の海上輸送には、自国籍船に優先積取権を与え、また関税減免措置の恩典を受ける貨物の輸送には、自国籍船の使用を義務づけるなど、自国商船隊の維持・育成には各種の援助政策を講じている。
1980年代には、商船隊の発展と外貨獲得の必要性から、大型船建造・増強・革新計画の実施、商船隊安定基金の運営などにより、1982年の保有船腹量は過去最大の696隻、836,326G/Tに拡充された。
ペルーの基幹産業は、鉱業、石油と並んで漁業などであるため、オイル・タンカー、バルクキャリア、一般貨物船および漁船が重要であり、商船隊の主体となっている。
このため、最盛期の1982年には、オイル・タンカー16隻(147,201G/T)、LGタンカー1隻(973G/T)、バルク・キャリア13隻(230,949G/T)、一般貨物船45隻(285,533G/T)、漁船598隻(164,331G/T)を保有していた。
その後、ペルー経済の悪化に伴って、1994年末現在では、オイル・タンカー6隻、約68千G/T(平均船齢30年)、バルク・キャリア2隻、約31千G/T(平均船齢20年)、一般貨物船11隻、約52千G/T(平均船齢37年)、漁船601隻、約167千G/T(平均船齢23年)、補給船1隻、299G/T(船齢51年)曳船14隻、約2千G/T(平均船齢24年)、浚渫船1隻、1,538G/T(船齢21年)となっており、老朽船が多いことが目立つ。
従って、新造船の建造あるいは中古船の購入によって、老朽船の代替、近代的経済船への切替えが考えられるが、ペルーの経済事情や政府の外貨不足からして、大きな期待はむずかしい状況にある。