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7. 基本構造の検討

 

7.1 自己復正型救命いかだ

自己復正の構造は、1961年の英国特許によれば、球状(または円弧状)の形状に天幕を形作り、重心位置を回転中心よりずらせば自動復正するとされている(SRIの特許公報(5)より)。バイキングの例は、これに近い構造と思われる。
また、SRIの例は、天幕支柱を外側に張り出すことで同様の回転モーメントを生み出す構造と考えられる。
SRIは、特許を保持し、支柱を主気室の外側に張り出す構造は特許の範囲内にあると考えられる
ので、この構造の検討は除外した。従って、支柱気室が主気室から外側に出ない構造(バイキングの例)か又は、まったく新しい構造を検討する必要がある。
復正構造を検討する場合、一例として、転覆状態の180度モードと横転状態の90度モードに分けて考えてみる。180度モードでは、主に天幕上面の形状、90度モードでは主に天幕側面形状及び重心と回転中心の位置関係が問題になると思われる。また、いずれの場合も、天幕支柱気室等の変形を考慮する必要がある。
バイキングの構造を参考にして、既存いかだを改良する方向で以下のように考えた。
(1)180度モードを不安定にして倒れやすくするために、天幕上面の形状を円弧状又は山形にする。
(2)90度モードから正立させるため、下主気室の幅を上主気室より狭くすることにより横断面形状の上下気室部分を円形に近づけると共に、浮心の位置を重心から離れる方向にずらし、さらにボンベ及び艤装品を片側に集中させると共に、できるだけ下側に取り付けることにより重心位置を下げる。
(3)復正を助けるため、全幅をせまくした形状とする。

 

7.2 天幕付両面型救命いかだ

基本構造としては、従来型の主気室構造の両面に各々天幕構造を持ち、両面共に展張させてしまう
(Floating lglooの例)か、又は上側になった部分のみ自動展張させる(今まで例はない)。もしくは、一組の天幕を持ち、救命いかだの上方を向いた側に展張させる(固型いかだ、旧乙型いかだの手動の例)が考えられる。さらに、天幕構造を持たず、主気室をかご状に構成することにより、内部スペースを確保する方法等が考えられる。
以下に両面に天幕を展張する場合及び天幕構造を持たない場合の例を検討する。
(1)天幕を両面に展張する場合
現在のままの支柱気室構造では、もし仮に両面共に自動展張させてしまうと水面側が支柱気室及び天幕内の浮力のため、浮遊状態が不安定になると予想される。

 

 

 

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