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8. いかだの使用法

(1)いかだの操作方法(船上投下膨脹と自動浮揚)

 コンテナに格納され架台に積付けられた救命いかだは、手動操作で投下すれば架台の傾斜(新規則では台座の傾斜角度20度以上)に沿って自重で落下し、作動索が引かれて自動的に膨脹するが、万一手動操作で投下する時間がなく本船がコンテナ(いかだ)ごと沈没した場合には、自動離脱装置が水圧で作動して(水深2m〜4mの範囲で作動)架台から離れて、コンテナ自身の浮力で自然に浮上する。同時に作動索が引かれて膨脹を開始し、コンテナを開いて水上に浮上展開する。
 旧積付方式のいかだの場合には、補助もやい綱及び安全索を取付けた構造になっており、手動投下の場合は、一般的には自動離脱装置の手動機構(ピン、ハンドル等)を操作して行う。
 補助もやい網は一端を架台に仮縛しておき、いかだの投下直前に架台又は船体の一部に強固に固練してから投下するもので、いかだは本船との繋留を保つことができる。一方、瞬時にして本船が沈没した場合補助もやい網を船体に固縛する時間がなかったとしても、もやい綱の一端は本船に固定されていないので自動離脱装置が作動した後、自動索の途中にある安全索の部分で切れて、本船から離脱する。
 新旧積付方式の索類接続図の一例を図14に示す。なおいかだの近くには、操作指示板(いかだの使用方法の説明書)を掲げることが要求されている。

(2)いかだへの乗込み

 水上にあるいかだ等への乗込みを容易にするために十分な数の乗込装置(乗込用はしご。降下式乗込装置等)を備え付けなければならないことが、船舶救命設備規則第86条に規定されている。いかだへ乗込む方法には、本船の乗込装置を用いて乗込む方法と水面よりいかだのはしご等を用いて乗込む方法がある。第一種いかだでは、4.5mの高さ上からいかだの天幕上への飛び降りに耐えられる様、又水中からの乗込みを容易にするため1個所乗込口に乗込台を設ける様要求されている。
 第1種船及び第3種船では、進水装置用第一種いかだが要求されている(ただし降下式乗込装置を用いる場合及び水面上4.5m未満の甲板上から乗込む場合は除く)。この進水装置用いかだは、本船のダビッドでいかだを吊下げたまま膨脹させ、全員が乗込み、ダビッドを操作して降下し、着水と同時に離脱して漂流に移る方式のものである。
 乗込み場所が水面より5m以上の第2種船のカーフェリー、積付高さが4.5mをこえる第1種船及び第3種船には、降下式乗込装口が要求されている。これには斜め式と垂直式がある。

(3)乗込み後直ちになすべきこと

 本船からの離脱はできるだけ早くしないと、本船沈没時の渦に巻き込まれたり、本船の構造物に引掛ったりして水没、破損する危険がある。乗込み終ったらもやい綱をナイフで切断して速やかに退避しなければならない。ナイフは第二種、甲種はいかだの乗込附近に取付け、乙種は帯索またはもやい綱に取付けてあるので取扱いに注意を要する。第一種いかだは乗込口近くの天幕の外側に取付方法が統一された。
 本船から離脱したら、漂流者を確認し収容すること、漂流している他のいかだがあれば集結すること、いかだの機能を確認することが次の行動となる。
 第一種、第二種いかだでは、海、空からの探索を容易にするため、いかだ本体に再帰反射材が取付けられ、饒製品として発煙浮信号、レーダー反射器、海面着色剤が新らしく装備されている。

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