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2.3 品質管理と検査の定義
(1) 品質管理の定義
日本工業規格(JIS Z 8101)では、品質管理とは、「買手の要求にあった品質の品物又はサービスを経済的に作りだすための手段の体系。品質管理を略してQCということがある。また、近代的な品質管理は、統計的な手段を採用しているので、特に統計的品質管理(Statis−tical Quality Control路してSQC)ということがある。
品質管理を効果的に実施するためには、市場の調査・研究・開発・製品の企画・設計・生産準備・購買・外注・製造・検査・販売およびアフターサービス並びに財務、人事、教育など企業活動全段階にわたり、経営者を始め管理者、監督者、作業者など企業の全員の参加と協力が必要である。このようにして実施される品質管理を全社的品質管理又は総合的品質管理(Total Quality Control略してTQC)という」
(2) 検査の定義
検査とは、「品物をなんらかの方法で試験した結果を、品質判定基準と比較して、個々の品物の良品、不良品の判定を下し、又は、ロット判定基準と比較してロットの合格・不合格の判定を下すこと」と定義している。(JIS−Z−8101より)
2.4 品質管理と検査の考え方とその相違点
品質の維持と保証の方法として、従来からは「検査」が実施されており、戦後は、検査の他に「品質管理」が導入・推進・定着している。両者の考え方とその相違点について述べる。
よい製品をお客に渡すために、検査は昔から行われて来た。しかし製品を選別してよい製品をお客に提供するだけならば、社内に検査で不合格になった不良品が増えるばかりで、コスト高になり経営上不利である。これを回避するには、不良品を始めからつくらないように、品質の不良予防に努力し、もし不良が発生したら、その不良の早期発見・早期治療を迅速・的確に行って根本的に再発防止に努力したほうが得策である。これを品質管理という。従って検査ができあがった製品の選別を意図しているのに対して、品質管理は製品がつくりだされる過程、材料や作業者や機械や作業方法(4M)などを合理的に管理していこうという考え方である。ここに検査と品質管理の相違点がある。
2.5 最近の品質の意味
最近は、顧客の品質に対する要求が広範囲に及び多様化してきた。それについて整理すると次

 

 

 

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