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ブジェクト指向技術を、エンドユーザには見えない形で、実装要素技術として採用することにしている。

(2)生産情報モデリング技術

企業の生産業務のシステム化及び統合化のために、生産情報(つまり、製品と生産過程および人員と設備に関する情報)のモデル化の重要性が近年広く認識されるようになってきた。例えばISOのSTEPはプロダクトデータ記述の国際基準として10年ほど前より検討されてきたが、最近、産業界からも強い注目を浴びている。そのほか、IAI(IndustryAl-liance for Interoperability)はAEC(Architecture,Engineering and Construction)業界の生産情報交換の基準としてIFC(Industry Foundation Classes)を提案している。さらに、WfMC(Workflow Management Coalition)は生産プロセス情報モデリングのために、WPDL(Work Process Description Language)をプロセス情報交換の基準として検討している。

生産業務情報モデリングの立場から見れば、STEPには三つの特徴がある。その第一の特徴は、メタ・モデリング・レベルでの方法論がしっかり整理されていることである。その方法論の有効性の確認にはさらに時間がかかると思われるが、GPME開発の立場から見れば、STEPのモデリング方法論は参考になり、3.3節に示すようにGPMEの開発過程でその一部を現実に取り入れている。

STEPの第二の特徴は、階層的なモデル構造を採用し、また幅広い産業範囲をカバーしていることである。階層的なモデル構造は情報管理のためには効率的であり、幅広い産業範囲をカバーすることは標準化のために重要なことである。しかしながら、その階層化の支援技術がまだ成熟していないので、高いレベル(たとえば、ARM-Application Reference Model-レベル)から低いレベル(たとえば、AIM−Application Interpreted Model-レベル)へのマッピングの手続きは非常に繁雑である。STEPの現在の状況として、モデリングが完成していない分野が未だ数多くあり、組立産業(造船・建築・施設建造など含む)の多くはこのような分野に入っている。

STEPの第三の特徴は、少なくとも現状では、それがデータを保存し交換するための静的情報モデルとなっていることである。STEPにはそもそも、システムの間で、静的なプロダクトモデルデータを交換するためのものとしてその開発がスタートしたという経緯があり、モデルの実行効率というよりも、データ/情報伝達の意味あいの正確さに、これまで重

 

 

 

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