日本財団 図書館


 

この寸法図を基に型鋼素材にマーキングすると、(図14.2)の様になる。

110-1.gif

以上、逆直線曲げの概略を述べたが、これを一本一本手作業で行うには面倒な作業である。また、マーキング作業に於いても同じことが言える。

中・大型船造船所では、数十年前からこの方法を導入しており、小型船造船所では、定点治具と同様、NC化と共に導入している所も見受けられるが、適応範囲については、大型船と小型船ではかなりの違いがある。下記にその違いを述べる。

 

14.1

・断面形状が比較的、緩やかなカーブになっており、曲率が大きいと言えば、船首・尾のごく限られた部分だが、小型船に比べると比較にならない。

・使用する型鋼のサイズが比較的大きいので、逆直線の長さが長く取れ、本数も少ないので曲げ精度が高い。

 

14.2 小型船の場合

・船型からみても曲がりの激しい部分が多い。

・型鋼のサイズも小さいため、逆直線の本数が増え、長さが短くなるので、曲げ精度が出にくい。

精度を上げるためには、逆直線の本数が、多くても3本以下、長さも800?o以上なければいけない。

当然、マーキングの精度も影響するが、逆直線のカーブを描くための分割ピッチを狭く取り、本数を増やすことにより、精度を上げることは可能である。NC現図では、この寸法表を自動的に作成することができるが、自動マーキングのための情報ではない。いずれにせよ、マーキングの作業量が、減少するよりも、むしろ増える傾向の方が強い。

最近では、NC型鋼マーキング・切断機も普及されつつあるが、型鋼のサイズが小さいものの処理については、難しい様である。

 

14.3 小型船での運用について

船型又は、船の大きさによって、全く適応しない場合も有りうるが、実績を見ると、499G/T型以上の場合、船首・尾の極端なS字曲げになる部分を除けば、ほとんどこの方法で処理されている。精度が出にくいものについては、一旦、逆直線で荒曲げを行い、確認と仕上げのためにベニヤ型を当て、精度を上げる方法もとられている。いずれにしても、現状の方法と比較して、総合的な判断が必要ではないかと思う。

Autoshipシステムでは、適応の有無は別として、簡単な操作で逆直曲げ寸法表を出力することができる。次項では、ShipCAMによる逆直線寸法表の作成について、操作と出力方法を説明する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION