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9.3 三角形法
この手法は、造船の現図場で一番多く用いられているもので、基本的な展開はこの方法で行われている。即ち、現図場にある、“実長尺”或いは“実長表”はこれに基づくものである。図1.41によって説明すると(a)図に、立面図と平面図が与えられているときに、この中で実長がそのまま読みとれるのは、ABCDの四周とabcdの四周である。ところが、この図形を展開するには、斜辺の長さAa,Ab,Bc等を知らなければならない。勿論Aaと∠BAaを知っても展開図形は描けるが、一般に角度を求めることは誤差が出やすく、それを展開図形に移すことも不正確になるので、“3辺の長さを知って、三角形を決める”手法が普通使われる。
この場合は(c)の展開図形にあるようにABの実長の上にB点を中心としてBbの実長を半径とする円弧を描き、一方A点を中心としてAbの実長を半径とする円弧を描いて両弧交点をbの展開上の点とする。aの展開上の点は、bを中心としてabを半径とする円弧と、Aを中心としてAaの実長を半径とする円弧の交点として定まる。このようにすれば、実長さえわかれば次々と三角形の連続形状として展開が可能になる。
次に、このような場合の実長の求め方について説明する。
この種の図形を展開するためには、図面を見ながら立体的に把握する必要はあるが、この場合平面図を見て、四角形ABCDに対して、四角形abcdはhだけ高いところにあると考える。即ち、このような形状の場合、Aaの実長を求めるには、平面図上のAaの長さのA点上に直角線を立て、それにhだけの距離の点をつけ、その点と、aを結んだ直線の長さがAaの実長ということになる。この関係を示したのが(b)図である。
現実の船体として考え、この平面図が正面線図であるとすれば、四角形ABCDと四角形abcdは、隣接するフレームスペースのラインということになり、平面図におけるAa,Abの長さは、それぞれ“正面線図におけるオチ”と呼ばれるものに相当する。
また、?D図は実長尺と呼ばれ、hがフレームスペースになる通常は、1船分のフレームスペースの種類を先に木型等に作製しておき、オチを拾ってはその実長尺にあてがって、実長を知りながら作業を進めるようにする。

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図1.41

 

 

 

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