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ある面にせん断応力が存在すると、その面に直交する面上に、大きさが同じで、方向については、力のベクトルの矢の矢頭あるいは矢尻同士が向かい合うようなせん断応力が存在するという特性がある。すなわち、せん断応力は単独では存在せず、必ずそれに直交するせん断応力を伴う。

4)フックの法則

棒を引張ったときの垂直応力と伸びひずみ、および、鋲継ぎ手におけるせん断応力とせん断ひずみの間の関係は、弾性域内では共に比例関係にある。これがフックの法則で、それぞれ、次のような関係式で与えられる。
σ=Eε[kgf/mm2](5)
τ=Gγ[kgf/mm2](6)
E[?f/m?をヤング率あるいは縦弾性係数、G[?f/mm2]を剛性率あるいは横弾性係数という。これらは、材料に固有の材料定数である。棒を引張れば、軸方向に伸びるが横方向には縮む。この横方向の圧縮ひずみεtと縦方向の引張りひずみεとの比νはポアソン比と呼ばれ、次式で定義されるが、これも材料定数である。

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等方性材料では、独立な材料定数は以上の3個である。

5)モールの応力円

物体内の応力は、その働く面の位置と方向が与えられて初めて大きさと方向が決まる。一般には、力の方向は面に対して傾いているので、ベクトル的に分解して、垂直応力とせん断応力に分けて考える。せん断応力が存在しない面に働く垂直応力を主応力といい、その面を主応力面という。主応力面は互いに直交しており、主応力は考える点における最大および最小の垂直応力である。最大せん断応力は主応力面と45度をなす面で生じる。直径dの棒を力Pで引張ったとき、M[?f/mm2]の曲げモーメントで曲げたとき、あるいは、T[?f/mm2]の涙りモーメントで振ったときに棒の横断面に生ずる応力の分布を、それぞれ、補・43図に示す。
引張ったときには断面全体に次式で与えられる一様な引張り応力σが生ずる(補・43図(a))。

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曲げたときには、中立軸からの距離に比例して、へこんだ側は圧縮の、出張った側は引張りの垂直応力が分布する(補・43図(b))。中立軸は中心を通る曲げモーメントの軸

 

 

 

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