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を続ける。この強制力と同じ振動数のfE=ωE/2π[Hz]の振動を強制振動と呼ぶ。ただし注意しなければならないのはこの場合でも、Eの力を加え始めた当初はこの系には強制振動と一緒に
xo=Acos(qot+εo)という自然振動が重なって発生する。しかしこの自然振動は初期的なものでしばらくすれば消えてしまい強制振動のみが継統される。

ただし強制外力が作用し始めた瞬間を含む短い時間内の系の振動とか、強制力がごく短い間だけしか働かずその間の系の挙動を詳細に解析しなければならないなどという場合にはふたつの振動の重なりを考えねばならない。例えば地震により物体が揺すられるような場合、機械を動かし始めた瞬間の機械全体あるいは軸系の振動などを取り扱う場合などがこれに相当する。しかし、我々が機関整備の上で取り扱うことの多いのは定常的に運転を続ける機関の軸系に生じる振動でそれは機関の回転力による強制振動である。強制振動は強制力の振動数qが固有振動数poに近いかどうかで振動の状態が著しく変化する。強制力の振動数が固有振動に比べて十分小さい場合、すなわち
fE《f0(q《P0)
であれば強制振動の振幅BはB≒E/Kとなる。すなわち強制カの振幅に等しい一定の力Eでばねkを引っ張った時の伸び(E/k)に等しい振幅で振動する。これに対し、強制力の振動数が固有振動数に比べて遥かに大きい場合にはその振幅はB≒Oとなる。
すなわちほとんど振動しなくなる。問題なのはq≒Poの場合の状態である。この状態での系の挙動は先に述べた振動系に働くあるいは内在する減衰作用の大小に強く影響される。減衰の作用が小さい系ではq=pにおいて振幅Bは非常に大きくなる。すなわちよく知られた共振状態(Resonance)が出現する。その条件は実際上はB=∽となり、この例のようなばねならばその弾性限界を超えるような大振幅が発生し、ばねの破断などの系の構造が破壊されることになる。また十分大きな減衰要素が系に含まれる場合にはf=foの近くでの共振現象を抑え
B≦E/k
までにすることができる。要するにf≒foでの強制振動の振幅は系の減衰要素の強弱次第で定まるということである。したがって問題にしている系がq≒Poの強制力を受けざるを得ない場合、その強制力による強制振動の振幅をなるべく小さくするためには系に内在する摩擦による減衰効果が期待できないときには必要なだけの減衰作用を与えることができる装置、すなわち適当なダンパのようなものを特別に系に取り付けなければならないことになる。

 

 

 

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