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プロペラは海水中での耐蝕性は良好であるが、極度に汚染されている海域または船体防食が不十分である場合、時として、コロージョンが進行することがある。これは化学的現象で、翼厚が薄くなることもある。

3)割れの溶接補修方法

銅合金プロペラの溶接補修にはイナートガスアーク溶接(inert gass shilded are welding)が最適である。そのうち、溶接補修面積が小さい場合は、TIG溶接(tungsten inert gaswelding)。大面積の場合は、MIG溶接(metal inert gas welding)が適している。アルミニウム青銅プロペラの翼の欠損、潰食、割れなどの修理には、主として溶接補修が行われている。その溶接方法は、TIG法およびMIG法が広く採用されている。アルミニウム青銅は、応力腐食割れに強いので、通常は後熱処理は必要ない。MIG法または、TIG法は不活性のアルゴンガスで溶接部をシールして溶接が行われるので、マンガン黄銅では、亜鉛の蒸発を僅少に抑えることができ、アルミニウム青銅では、アルミの酸化物の発生を極力避けられる。従って十分な溶接強度と欠陥のない補修が可能である。

4)プロペラ翼の曲り直し

流木などの衝突による翼中央から先端部における翼の曲りは、主機関の過負荷および振動の原因になるので修理が必要である。翼の曲り直しは冷間あるいは熱間で行われる。具体的な曲り直し方法、加熱方法、加熱温度などについては、日本海事協会発行の舶用プロペラ補修指針によるものとするが、プロペラ前進面の翼根部より0.4R附近は溶接補修を禁止している。熱間曲り直しの条件は7・9表による。冷間曲り直しの方法は200℃以下で油圧ジャッキなどにより静的荷重にて行うこととしハンマリングなどの衝撃荷重は僅かな小さな曲りの補修を除き禁止している。

7・9表熱間曲り直しの条件

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