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(7)バルブタイミング不良

バルブクリアランスの調整不良、カム山及びタペットの摩耗などにより、バルブタイミングに狂いを生じると出力不足となり、排気ガスが黒色となり悪化する。

a)バルブクリアランスの調整不良

基準値より減少すると、弁開時期が早くなり、弁閉時期が遅れる。また運転中の熱膨張により、バルブクリアランスが、更に減少し極端な場合は、バルブが突き上げられて、閉じなくなる。バルブクリアランスが大きい場合は、弁開時期が遅れ、弁閉時期が早くなると共に、作動時の衝撃が大きく摩耗を促進し、騒音を発生する。

b)カム山及びタペットの摩耗

カム山やタペットが摩耗すると、バルブクリアランスが、大巾に増加して弁開時期が遅れ、弁閉時期が早くなると共に、弁リフト量が減少する。従って大巾に出力が低下するので、排気ガスが黒色となり悪化する。

C)バルブの突き上げ

バルブクリアランスがなくなり、バルブが突き上げられると、ピストン頂面との干渉、圧縮不良、ガスもれとなるほか、バルブの熱伝動が悪化して、傘部が溶損したり亀裂を起こし、大事故を誘発する。

d)吸気弁の開閉時期の狂い

弁開時期が早過ぎると、燃焼ガスが吸気管側へ逆流して、バックファイヤを生じ易くなる。弁開時期が遅れるとオーバーラップが不足するため、シリンダ内のガス交換が不十分で燃焼不良となり易い。弁閉時期が早過ぎると、十分な吸気慣性が得られ難く、酸素不足による不完全燃焼となり易い。弁閉時期が遅れると、圧縮もれを生じ易く、十分な圧縮圧力が得られず、始動不良や出力不足を生じ易い。

e)排気弁の開閉時期の狂い

弁開時期が早過ぎると、燃焼エネルギの損失が増加して出力不足となり易い。弁開時期が遅れると、燃焼ガスの排気損失が増加して熱効率が低下する。弁閉時期が早過ぎるとシリンダ内のガス交換が不足し、排気ガスが残り易くなる。弁閉時期が遅れると、吸気不足となる。

f)オーバーラップ

吸気弁、排気弁の両者共に開いている期間が設けられており、これを弁のオーバーラップ時期と呼んでいる。オーバーラップする期間の長短は、その機関のガス交換を行なう上で、重要なタイミングであり弁開閉時期が狂うと、オーバーラップ期間が狂い、ガス交換が不十分となるので、出力が減少する。

 

 

 

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