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3)計測値の解析
?各クランクの計測値a1……a5の内で最大・最小値の差がそのクランクのデフレクションとなる。
?工場試験成績表、現地据付時あるいは前回計測時の記録などと比較する。クランク軸デフレクションが悪い状態に放置しておくと主軸受の摩耗を早めたり、損傷する恐れがあり、最悪の場合はクランク軸の折損に至る恐れもあるので特に注意する必要がある。
?クランク軸デフレクションが許容値を越えたら出来る限り早い機会にクランク軸芯を修正する必要がある。
デフレクションの許容限度については、各機関メーカの取扱説明書に記載されている数値を基に判断をする。 船舶機関規則では許容値限度を

△a≦2S/10,000mm
ここでS=ストロークmm

と決めているが「尚、座礁等の事故により著しく変形を生じた場合を除き、上死点と下死点における内側間距離の差である△aが負となる場合(上開き)は、−2S/10,000を下回っても差し支えない」とある。
計測時、ゲージを直読すると+と−が逆になることがあるので注意のこと。
?舶用主機関の場合、減速機・逆転機・クラッチあるいは弾性継手(ガイスリンガー継手など)などが装着されるため、ハズミ側最後部シリンダのデフレクションのみが若干大きくなることがある。
この場合も前述の如く据え付け時あるいは前回計測値と良く比較検討が必要である。
?クランク軸のデフレクションは据付の状態、軸芯の状態(減速機等との軸芯の良否)、ハズミ車の形状等によって変化するので注意する。
?ダイヤルゲージ(−)はクランクアーム間が広がっていることを示し、ダイヤルゲージ(+)はクランクアームが挟まっていることを示す。
従って一般的にクランク軸のデフレクションの値は多シリンダの場合、その相互影響も含めて5・25図において左図が正常な状態であり、右図が不良な状態である。
136-1.gif

 

 

 

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