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(6)危機管理システムの構築
特に公的に整備される物流拠点は、余裕を持った施設整備を進めることにより、平時における物流拠点としての機能のみならず、緊急時においては緊急物資輸送拠点として活用されるとともに、緊急避難場所、緊急医療活動、避難活動などが行われる地域防災拠点として活用されることが望まれる。
そのため、平時と緊急時において施設を使い分け、平時は公園・緩衝緑地、スポーツ施設等として活用しつつ、緊急時にはこれらを緊急物資輸送拠点、緊急医療拠点、ヘリポート等へ柔軟に活用し、地域防災拠点としての役割を発揮する仕組みを作っておくことが望まれる。
物流拠点が地域防災拠点機能を発揮するには、物流拠点と物流拠点へのアクセス道の耐震性を高めることが必要であるとともに、防火水槽の整備や緊急物資の備蓄機能の強化、無線の設置、航空写真・衛星写真を活用しリアルタイムに輸送ルートを指示できる体制の構築などにより、物流拠点の防災機能を高めていくことが重要である。
また、緊急時に重要な役割を果たす施設についてはこれらへのアクセスルート、情報通信網、ライフラインについては二重構造としつつ、耐震性を強化していくことが重要である。
特に港湾においては、震災時には海上輸送による緊急物資の供給が盛んに行われたことから、耐震バースの分散配置に加え、様々な船舶に柔軟に対応できる融通性の高いバース整備が求められる。
代替機能を確保するといった観点からは、機械と手動との双方が可能なシステムや自家発電システムの整備などについても導入していくことが望まれる。
災害への平時からの備えとしてはハード面の整備とともに、緊急物資輸送に関わる地方自治体と物流事業者問との連携や、広域的な防災マニュアルの作成と周知徹底に加え、防災訓練を平時から実施するなどソフト面の整備についても重要である。特に、緊急時における物流拠点問のバックアップ体制に関する取り決めと利用者や地域住民への周知徹底を図ることが必要である。

 

 

 

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