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II.貿易取引における流通性書類を巡る諸問題

1.軸荷証券を巡る問題点
(1)船荷証券の危機
高速船の導入など輸送技術の進展に伴い物品の迅速な移動が実現できるようになってきているにもかかわらず、世界の各地で、依然として伝統的な流通性運送証券である「船荷証券」が使用されており、船積書類は依然として銀行経由のルートで処理されていることに起因する問題、本船が入港しても船荷証券が到着しないので、荷受人も船会社も困惑するという事態が発生していることが指摘されている。
仕向地における船荷証券の延着は、運送品の引渡しを遅延させるだけでなく、滞船料の類の費用を発生させるほか、港の混雑を増幅させているとの指摘もされている。
このような事態が、「船荷証券の危機」といわれてものである。
(2)その他船荷証券を巡る問題点
船荷証券については、上記(1)で述べたような「船荷証券の危機」の問題のほかに、証券の発行に伴うコストの増加やその削減の可否が関係者の関心を集めている。
船荷証券の発行コストの増加に関しては、特定の大陸や国・地域との貿易においては、船荷証券のコピー部数が増加の傾向を示していることが報告されている。
国連ECE/WP.4会議に提示された報告によれば、一般に、船荷証券のコピー部数は1O部から40部(時には更に多く)必要とされ、また、運送品別に作成されなければならないようである。これは船荷証券が、荷送人やフレイトフォワーダー、船会社及びその代理人、税関、領事館、港湾関係当局その他で使用されていることによるものである。
これらは、船荷証券の用紙や印刷に係る直接費用に関連するものであるが、このこともさることながら、証券発行の準備や処理に係る経費も注目に値し、これらが相当の費用に達しており、この削減が関係者の関心を集めているとの指摘もなされている。
このため、国連ECE/WP.4では、1979年3月会期において、『海上運送証券の手続簡易化のための方策』(国連ECE勧告第12号)の採択を行い、次のような事項について、勧告を行っている。
?非流通性Sea Waybillによる流通性証券の代替
?オリジナル1通のみによる流通性船荷証券
?裏面白紙フォームの使用
?多目的利用フォームの用意
?コピー部数の制限

 

 

 

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