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2)台帳調査分析

 今回の調査でリストアップされた赤煉瓦建造物は114件であり、内建築物60棟、工作物50棟、その他4件である。
・赤煉瓦建造物の分布
 赤煉瓦建造物は東舞鶴地区に多く、特に港湾部に集中する。鉄道沿線にも赤煉瓦工作物が点在している。
・用途
 用途は、倉庫として使用されている建造物が27棟と最も多く、工場は18棟現存する。鉄道関係では橋梁が22、隧道が4確認されている。その他砲台跡が5あり、浄水場配水池の2、貯水池の1も赤煉瓦建造物である。しかし神崎煉瓦ホフマン式輪窯のように現在未使用の建造物も多い。規模の小さいものとして門柱や手洗所、石道、築山等があり、様々なかたちで赤煉瓦を使用している。
・建設年代
 建設年代は、明治33年から明治37年建設が集中している。特に海軍工廠の施設は明治36年建設が16棟と多い。鉄道関連の工作物は明治37年建設である(橋梁等25件)。大正時代では計16件の建設が確認されている。昭和の時代になっても終戦までに15件の赤煉瓦建造物(工作物)があり、戦後になっても5棟の建造物が建てられている。
・煉瓦
 構造は煉瓦造及び鉄骨煉瓦造が主となっている。煉瓦の積み方は、全国的にも事例の少ないフランス積が海軍工廠(現日立造船)の8棟、舞鶴赤れんが博物館の1棟が現存している。その他の建造物はイギリス積が大半を占めているが、一部長手積も見られる。
・所有者及び使用者
 赤煉瓦建造物の所有者及び使用者はほとんどが民間のものである。舞鶴市の所有は、舞鶴赤れんが博物館、市政記念館、北吸浄水場配水池、北吸隧道等である。赤煉瓦建造物の最も集中している(株)日立造船内の工場、倉庫等は全て日立造船の所育である。鉄道関係でも鉄道工作物は全てJR西日本の所有で、数にして26件ある。国関係では自衛隊施設を舞鶴地方総監部所有、その他一部の建造物は大蔵省のものもある。
・設計担当及び施工担当
 大半の建造物について設計担当及び施工担当を明らかに出来なかった。海軍工廠の建築については臨時海軍建築部であり、砲台については築城部舞鶴支部である。鉄道関係の施工担当は稲葉弥吉氏、沢井市造氏による。
・保存状態
 現役として使用されている建造物については、多くの建造物は、保存状態は原型を維持し保存状想も良好、もしくは保存状態は比較的良であった。しかし、未使用の建造物に関しては、屋根が一部破損していたり、痛みが進みつつある状態や、半壊の危機にあるものもある。
 保存のための改造は、積極的には舞観市所有の赤れんが博物館、市政記念館にみられ、自衛隊舞鶴地方総監部においても記念館に改造した建築をはじめ、保存に取り組んでいる例も若干みられた。改造に関しても現役に使用されている建造物にっいては原型を維持し、一部外壁や窓枠等の改造にとどまっている。

 

 

 

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