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挨拶

 

第6回国際アルコール関連問題対策国際会議の開催にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。本日から三日間にわたり、第6回国際アルコール関連問題対策国際会議が開催され、WHOのリーダーシップのもとに、世界各国から飲酒関連問題に携わる方々が一同に会し、各国のアルコール関連問題の予防対策の立案及びその評価の報告と相互の意見交換が行われること、また、今回初めての試みとして、その一部を公開シンポジウムとして関係者に公開することは、誠に時宜を得たものであります。

本会議において熱心な討議が行われ、その成果が適正飲酒及びアルコール飲料に関する正しい知識の普及、啓発、各種の調査研究等の一層の推進に活かされますことを心から期待しています。

さて近年、未成年者や女性の飲酒人口も増加しており、また、昨年総務庁が行った「青少年と自動販売機等に関する調査研究報告書」によりますと、男子高校生では31%、男子中学生では13%が自動販売機で酒を買っているとのことであり、このような状況の中で、今日のアルコール関連問題対策への社会的要請は、極めて強いものがあります。

さらに最近、警察庁によってまとめられました、今年1月から6月までの上半期の薬物事犯の概要によりますと、その特徴として覚醒剤事犯の検挙件数・人員が増加傾向にあり、特に高校生の乱用が目立っていることがわかりました。

一部の有識者の中では、最近ではGATE−WAY DRUGといった言葉が使われるようになってきたことをご存じの方もいらっしゃると思います。これは、たばこ、アルコールなどが薬物使用の文字通り入り口としての役割を果たしているといった意味で使用されているようであります。その意味からも、未成年者に対するアルコール対策を推進する必要があります。

また、ご承知のように今回我々の身近には多種多様なアルコール飲料が存在しております。飲酒の機会が増大するにつれて、飲酒と健康の問題に対する国民の関心も高まりを見せております。

厚生省といたしましては、平成5年、公衆衛生審議会アルコール関連問題専門委員会から出されました提言をもとに、未成年者の飲酒あるいはアルコール類の自動販売機の撤廃問題等、関係省庁等と連携を保ちつつ、関連産業、ボランティア団体、地域住民等の協力を得ながら対策を推進しているところであります。

特に、私共の知るかぎりでは、酒の自動販売機があるのは、日本だけであり、誠に恥ずかしいことであります。世界中の人々が集まる1998年の長野オリンピックまでには、日本の有識者のみなさんのお力をかりて自動販売機を撤廃できればと考えております。

終わりに、本国際会議の開催に多大なる御尽力された関係者の皆様方に深く敬意を表しますとともに、会議の成功と本日お集まりの皆様方の一層の御活躍とご健勝を祈念いたしまして、私のお祝いの言葉とさせていただきます。

 

平成8年9月11日

 

厚生省保健医療局長

小林 秀資

 

 

 

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