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(6)不登校児問題に一石を投じる
不登校児支援活動を通して見えてきたこと
 2000年度の不登校児童・生徒数は、13万人を超え少子化傾向の中で不登校の問題はいよいよクローズアップされてきた。日本財団では、1999年より「不登校児への取り組み」を重点項目として支援を始めた。
 いくつかの支援実績を通して不登校について分かってきたことは、第一に、不登校児のほとんどは学校に行きたくとも行けない子供であり、引きこもり状態にあるということである。引きこもり状態が長期化すると、他者とのコミュニケーションが図れないため、将来の社会適応を妨げる問題となる。
 第二には、一般的に不登校になった原因分析に走る傾向が見られるが、不登校は、思春期における多くの原因が複雑に絡み合って引き起こされることから、原因をいくら分析したところで、既に不登校状態の子供の問題解決にはつながらない、ということである。
 第三には、不登校児が学校や社会に復帰していくためには、カウンセラーやフリースクールといった第三者の適度な介在と親子関係の再構築が必要なケースが多いこと。
 そして第四に、ボランティアによる支援活動が効果的であるということである。不登校は心の問題であり、自分自身の存在に自信を喪失しているケースが多いため、ボランティアによる支援活動が子供たちの心を開かせ、本源的な活力を引き出すことにつながる。
 
調査研究と助成の2本立てで処方箋を提示
 支援活動を通して得た「不登校」に対する認識に基づき、できることは、
1)不登校児を特別視しない社会環境づくり
2)当事者に有効な情報と多様な選択肢を提供していくこと
3)精力的に不登校児支援を行っているボランテイア団体・NPOへの活動支援や連携促進
などが挙げられる。そのため調査研究事業で2000年8月、2002年4月に日本財団ビルで「不登校フォーラム」(合計300人超が参加)を開催するとともに、2001年12月には不登校事例集「大人が変われば子どもも変わる」を刊行(約1,500部)して、不登校は誰にでも起き得るという啓発と具体的な問題解決の方法を提示した。
 また、助成事業ではメンタルフレンド(※1)の育成、フリースペースなどの居場所づくり、親の会によるネットワークづくりなど約300件を支援している。
※1 メンタルフレンド:引きこもっている子供の自宅を根気よく訪問し、子供が心を開くきっかけづくりをする不登校体験者や大学生のこと。
 
不登校・引きこもりフォーラムIIの風景
(7)NPO支援センターへの先行投資とフォローアップ
模索の中から、はじめの一歩
 全国各地でボランティア・NPO活動が活発になる中、1997年頃からNPO支援センターが各県域レベルで立ち上がってきた。これらは、ボランティア・NPO活動が効果的に行われるための地域社会の基盤整備を行うことを目的としている。
 このNPO支援センターという、地域社会とボランティア・NPO活動の間に立って活動する「中間支援組織」という形態に関しては、その社会的機能がどの程度有効であるか未知数であったが、日本財団では中間評価することを条件として、試行的に1997年度から支援を開始した。
 当初は東京、宮城、広島の3カ所に限定したものの、支援内容は運営費助成にまで踏み込んだものであった。その後、漸次支援先も増やしていき、2001年度までには約25センターの100事業を支援し、社会基盤の整備を促した。NPO支援センターに対する支援の質と規模において、これほど実績を持つ助成財団はほかにはないと思われる。
 
NPO支援センター強化プログラムの実施
 2000年度後半から東京大学と共同で現地調査を行い、今までのNPO支援センターに対する助成に関する中間評価を行った。その結果、支援センターが地域の中で徐々に存在感を示し始め、有効性を発揮しつつあることが確認できた。しかしながら、質・量ともに人材不足の状況にあることから、それぞれの特徴を活かしきれないまま、現状に甘んじていることも判明した。そこで本財団では、2002年度に「NPO支援センター強化プログラム」を創設した。これは、それぞれの支援センターが独自のプロジェクトの中で新たな人材の育成を行うことで、活動をさらに発展させることをめざしたものである。
(8)助成事業成果発表会の地方開催
 近年、助成財団も仕事の質や成果が一層厳しく問われる時代となってきた。同時に情報公開の一環としても、助成事業について積極的に社会に公表する必要性が高まってきた。
 日本財団では、これまで顕著な成果を上げた助成事業の成果発表を東京で開催したことはあったが、県単位で数件の事業を取り上げ一覧的に発表することはなかった。そこで2001年2月、福岡市においてNPO支援センターである「NPOふくおか」と共催で成果発表会「どげん使うた?助成金」を実施した。さらに同年12月には広島市でも同様の成果発表会を実施し、福岡以上に内容や参加者の層に広がりが持てた。
 成果発表会は助成先団体にとっても、アカウンタビリティ(説明責任)の重要性をあらためて認識する契機であり、社会に対しプレゼンテーションをする良い機会でもある。また成果発表会を通して、他団体と情報交換を行い、自らの事業を振り返ることの大切さを実感できることに意義がある。この自己評価を習慣化することは、NPOのマネジメント力向上を図るうえで、はじめの一歩とも言える。
 また、本財団にとっても、成果発表会は「思い」よりも「成果重視」へシフトしていこうという姿勢を示す良い機会であり、本財団事業の周知の意味合いも含め、今後も継続して実施する予定である。
 
ボランティア支援部調査研究事業の成果物
(9)10年目を迎えたボランティア支援部の課題と方向性〜成果主義へのシフト
担い手の育成を目指した9年間
 日本財団のボランティア支援事業の目的は、その発足以来9年間、政府の手が届かず、しかも企業にとっても興味の薄い社会セクターの中に、良きコミュニティーを育てるための担い手としてのボランティア団体・NPOの「自発的社会集団」の立ち上げに貢献することであった。
 この間、阪神・淡路大震災を契機に、多数生まれたボランティア団体・NPOは、草創期から成熟期に向けてのセカンドステージに入り、社会の一翼を担うことが期待されるようになった。これはNPO法人の認証件数が、NPO法施行後4年足らずで1万に迫る勢いであることからもうかがえる。
 
テーマを明らかにして成果重視をかかげた10年目
 担い手としての「自発的社会集団」の数はかなり充実してきたものの、社会的責任を負いつつ成果を出している団体はまだまだ数少ない。
 最大の課題は、「思い」に重きを置くために事業成果が二の次になり、他の組織との協働やマネジメントが軽視されているところにある。
 ボランティア団体やNPOのこうした実情や課題を踏まえ、2002年度は「コミュニティーでの各セクターの協働の推進」というテーマを設定した。そしてこのテーマの下、NPO自らが「思い」を超えて、行政、企業、他のNPOと積極的に協働していくことにより、単独の団体では成し得ない大きな成果を生み出すことができるということをメッセージとして打ち出している。そして、そのような事業を中心に支援を展開していくことで、NPOが進むべき道筋を提示しようというものである。
 
2002年度 新しいテーマによる募集を開始



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