日本財団 図書館


上海交通大学図書館 館員 徐英祥
訪日の感想
 
 2006年12月6日、私は日本科学協会の招待する中国大学図書館の日本訪問視察交流に参加した。当日の午後に東京へ着き、一行27人は全国24大学の図書館と関連機関から来ていた。訪日中は日本側の心がこもった対応を受けた。より忘れがたいのは全体のスケジュールが視察団の性質を考慮したものだったことで、日本の大学図書館の視察と学習の手配が非常に充実していて、私たちにぴったり合っており、多くのものを得ることができた。本学の図書館は新築中で、今回の日本視察と研学、日本の大学の現代化した図書館を参観できたことは、まさに千載一遇の機会だった。同時に、日本科学協会の図書プロジェクトの意義と運営、日本側の勤勉な仕事についてよりよく理解することができた。こうした図書はかけがえのないもので、本学の図書館が日本の図書寄贈を受けられるのは幸いなことだという認識を大いに深めることができた。これらの寄贈図書はきっと本学の教育研究において積極的に力を発揮するだろう。ここに深い謝意を表したい。
 今回、視察の時間は長くなかったものの、深く感じるところがあり収穫は大きかった。日本科学協会の図書プロジェクトへの理解も、今後こちらでのプロジェクト運営をよりよいものにすると思う。本学図書館の日本語書籍は決して多くないので、日本側の図書寄贈プロジェクトを非常に必要としている。これらの寄贈図書は図書館の蔵書を豊かにするだけでなく、本学図書館の日本語書籍不足を補うものでもある。さらに、より重要なのは、本学の学生や教員がより多くの日本語書籍を目にすることで、より広汎な科学技術を学習できることである。これらの寄贈図書をどのように活用し有効に利用するかが私たちの今後の業務で重要な項目の一つである。
 日本の大学図書館を視察しての研学中、いくつかの図書館はここ二年ほどで新築されたものであるが、日本の大学図書館における現代技術の応用ぶりを見ることができ、本学図書館の新館建設にもよい参考となった。図書館ICカードの使用という面では、本当に一枚のカードで何でもでき、管理、貸出、流通、相談、複製など、読者に絶大な利便性を提供しており、また図書館の現代化の基礎にもなっている。成蹊大学の図書館では、スペースシャトルのような小型会議室に通してもらった。まるで時間を超越したような空間だった。一組一組の学生がこうした「スペースシャトル」内で学習討論や専門講座に参加しているのを見て、学生たちの発想が飛躍したり科学技術発展に憧れたりしているのかと想像してみた。先進科学の開拓精神のようなものが感じられ、とても興奮した。
 日本の大学図書館はどこでも先進的な集中書架を使用しており、図書の保存と検索に極めて便利だ。本学図書館の建設でもこれを考慮できないかと思っている。各大学図書館の参観中、人間味のある設計が多いのにも気が付いた。照明の使用、閲覧座席の設計、電源プラグ、コンピュータ利用など、多くが周到に読者を気遣ったもので、一つ一つ記録しておけば、本学図書館の新館建設にも大いに参考になる。
 サービスの面でも日本の大学図書館はすばらしかった。私たちも各図書館の関係者と十分に交流を行った。現代化された設備、優れたサービス、豊富な蔵書と、日本の大学図書館は大いに力を発揮しており、比べてみると、中国のサービスはだいたい意にかなっている程度だ。現代化した設備はお金で買えるが、よりよいサービス、読者のための考慮、図書館を最大限に利用するという理念などはそうはいかない。この点も今回の視察で深く理解した。自身もこうした体系や理念を中国に持ち帰り、新館建設とサービスの中に生かしていきたい。
 言わずにいられないこと。図書館の参観研学以外にも、今回の訪日では日本の発展の速さ、現代化した社会の建設を目の当たりにし、日本の多くの風土や人情も深く印象に残った。今回、東京や大阪といった現代化した都市の賑わう街道や四方八方に通じている交通網だけでなく、京都や奈良のような優れた古都で日本人の知恵や想像力を見ることもできた。もちろん日程が慌ただしかったので、深く理解することはできなかったが、見聞したものは一生忘れられないと思う。中国の飛躍的発展と、日本の友人たちに再会できる機会を期待している。
 
上海海事大学日本語学部 主任 張恵
訪日感想
 
 財団法人日本科学協会の招請を受け、われわれ一行27人は2006年12月4日〜12月11日に日本を訪問した。今回の訪問について以下の感想を述べたい。
 
1. 感謝の気持ち
 日程、見学先、受入状況等訪日の内容全体に対して感謝する気持ちで一杯である。
 特に、直接にわれわれを案内してくれた日本科学協会の担当者の方々との触れ合いを通じて彼らの仕事内容、人格等をよく理解した。彼ら及びヤマタネ株式会社等関係者の皆様が我々に図書を届けるためにどれだけ苦労なさったかをよく理解した。彼らは、金銭だけではなく情熱を込めて大量の肉体労働をなされ、多くの困難を乗り越えた。今回また訪日中の我々のために苦労を問わず、見学先へのアポイント、見学先へ行くコースの調査、バス、食事、ホテル、交通道具等すべての日程を細かく手配してくれた。
 梶原義明日本科学協会常務理事は空港までわれわれを出迎え、見送りしてくださり、情熱溢れた挨拶をなされた。
 これら全てを我々の眼に留め、心の中に留めた。皆様は自らの行動を以て日本国民の友好の気持ちをわれわれに伝え、中日間に友好の橋をかけた。
2. 訪問の内容
(1)日本財団への表敬
 日本財団を表敬訪問した際、笹川陽平日本財団会長をはじめとする日本財団の皆様から熱烈な歓迎を受けた。日本財団は、日本財団と日本科学協会の関係、事業実施のプロセス、それぞれの職責等を説明してくれた。それらを通じて日本財団と日本科学協会の事業についての理解を深め、敬意が生じた。中日両国人民の友情を増進するために皆様は勤勉に仕事をしている。
 我々も皆様と同様に中日両国民の友情を増進するために弛まぬ努力をしなければならない。
(2)図書館の見学
 日本滞在中に、武蔵工業大学図書館、芝浦工業大学図書館、成蹊大学図書館、国立国会図書館、琉球大学図書館を見学した。その中に私立と国立等違う種類の図書館があるがそれぞれは自らの特色を有する。見学先々の各図書館の責任者から図書館の設立時間、蔵書数と蔵書の種類、読者層、館内の人員配置と作業分担等の説明を受けた。
 図書館の見学に関して次の感想があった。
1)日本は図書館の整備を重視し、予算の配分も多い。図書館の建設は特色と中身があり、文化的雰囲気に満ちることを目指している。確かにそこが知識の宝庫になっているゆえんである。
2)図書館員が少なく無駄を省いている。
3)図書館は清潔で整然としており、それぞれの特色と優位性がある。学生や地域住民が利用しやすい。
3. 訪日印象
 図書館等の見学以外に清水寺、金閣寺、東大寺、唐招提寺等日本の古代建築も見学した。これら有名な寺院には中国古代の面影が残されている。特に、唐招提寺は中国の高僧鑑真和尚を記念するために建てられた寺院である。中日友好の源流が長いことの証である。われわれの世代には中日友好を伝承し、高揚する責任と義務がある。
 
 総じて、今回の訪日を通じて日本及び日本国民に対する理解を深めた。日本科学協会が実施している事業は意義が深く、これからも継続し高揚していくべき事業である。我々が受け取った一冊一冊の図書にはスタッフの皆様の気持ちが一杯込められ、日本国民の友情が込められているので、これらの図書を大切にしなければならない。図書を通じてきっとより多くの人々の心が開かれるだろう。
 ただ一つ残念なことがあった。日本にはまだ煙を出す煙突と高圧線があることであった。環境重視という日本の印象についての唯一の不足であった。
 総じて、今回の訪日を通じて日本の進歩と高効率の発展について、自らの目で確かめた。そして、日本の大学の良いところ、大学図書館が学生や地域住民になされた努力と貢献を自らの目で確かめた。更に、日本国民の友情と中日友好のために日本の国民がなされた貢献を自らの目で確かめた。
 日本語の教師としてこれらの見聞を学生達に伝え、今後、学生達と共に中日友好を次の世代に伝承するために努力していきたい。
 訪日のチャンスを与え、われわれを受け入れるために勤勉に仕事をしてくださったすべての人に感謝する。
2006年12月20日


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